はじめに|在宅ワークの普及と“座りすぎ”による股関節の異変
テレワークや在宅勤務が当たり前になった今、「長時間座っていると足の付け根がつまる」「椅子から立ち上がるときに違和感がある」と感じる方が増えています。特に30代後半から50代にかけて、長時間座り姿勢が続くことで股関節周囲のトラブルを訴える人が急増しています。
このブログでは、「座っていると足の付け根がつまる」という症状の正体と、在宅ワーカーに多い股関節の問題、その予防と対処法についてわかりやすく解説します。
座っていると「足の付け根がつまる」感覚の正体は?
骨盤と股関節の位置関係が乱れることで起こる違和感
長時間座っていると、骨盤が後ろに傾き、股関節が深く屈曲した状態になります。これにより、股関節前方のスペースが狭くなり、関節唇や腸腰筋に圧迫や摩擦が生じやすくなるのです。
よく見られる症状例
- 足の付け根がズーンと重だるい
- 深く座ると詰まるような感覚
- 椅子から立ち上がるときに股関節が引っかかる
- 歩き出しに違和感や痛みがある
このような症状が継続すると、日常生活に支障をきたすようになり、運動や外出を避けるようになるケースも。
在宅ワークと股関節トラブルの関係
在宅勤務特有の姿勢習慣が股関節に与える影響
1. デスク環境の不備
ソファや低いテーブルなどで仕事をしていると、骨盤が後傾し、股関節が常に圧迫される姿勢になります。
2. 運動不足と筋力低下
通勤がなくなったことで歩く機会が減少し、股関節を支える中臀筋や腸腰筋が弱くなります。その結果、関節の安定性が損なわれ、痛みや違和感につながります。
3. 長時間の同一姿勢
会議や作業に集中して、1〜2時間同じ姿勢で座り続けると、股関節の滑液循環が滞り、関節内に負荷が蓄積されていきます。

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考えられる股関節の疾患・異常
放置は禁物!こんな病気の可能性も
「つまる感じ」や「引っかかる感じ」が慢性化している場合、以下のような疾患が隠れている可能性があります。
1. 股関節インピンジメント(FAI)
股関節の骨同士がぶつかってしまい、関節唇に損傷や炎症が起きる状態。特に座位からの立ち上がり動作で強い痛みや詰まり感が出ることがあります。
2. 変形性股関節症の初期
軟骨のすり減りが始まっている段階では、動き始めにだけ痛みが出ることが特徴。座りっぱなしの生活は進行を早めるリスクがあります。
3. 腸腰筋の拘縮や炎症
長時間座り姿勢により、腸腰筋が短縮し固まりやすくなり、股関節を曲げ伸ばしするたびに違和感や痛みが出やすくなります。
自宅でできるセルフチェックと対処法
1日5分でもOK!セルフケアのすすめ
簡単なセルフチェック
- 仰向けで膝を抱えたときに足の付け根がつまる
- 片足立ちで不安定感がある
- 正座がしづらい・途中で詰まる感じがある
このようなサインがある方は、股関節周囲の柔軟性や筋力が低下している可能性があります。
股関節ケアの基本
- ストレッチ:腸腰筋・内転筋・お尻まわりを重点的に
- 筋トレ:中臀筋・大臀筋を鍛える
- 姿勢改善:座る椅子や机の高さを調整し、股関節が90度以上曲がらない環境を整える
痛みが続くなら専門医へ
早期発見・早期対処が鍵
痛みや違和感が2週間以上続く、セルフケアをしても改善しない場合は、整形外科の受診をおすすめします。股関節の画像診断(MRIやX線)により、関節唇の損傷や軟骨の状態が評価できます。
最近では、PRP療法や幹細胞などを活用した再生医療も注目されており、手術以外の負担の少ない治療法を選べる時代になっています。
まとめ|座りすぎに注意!未来の股関節を守るために
「座っていると足の付け根がつまる…」そんな日常の違和感も、見逃さずケアすることで将来の大きな痛みを防ぐことができます。
特に在宅ワークが長期化する今、正しい座り方・日常的なストレッチ・適切な運動を取り入れることが、健康な股関節を守る第一歩です。
症状がある場合は早めに専門医に相談し、適切な診断と治療を受けましょう。
あなたの身体は、あなただけの大切な資本です。 日々の積み重ねで、未来の快適な暮らしを手に入れましょう。
その「足の付け根の詰まり感」、放置していませんか?
在宅ワークや長時間の座位で、股関節に違和感を抱える方が増えています。
当院では、専門医による診察とMRIなどによる画像診断を通じて、原因の特定と最適な治療をご提案しています。
この記事の監修医師
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医
東京都・武蔵境「阿部整形外科クリニック」院長。股関節をはじめとする関節疾患の診療に長年従事し、再生医療やPRP療法にも精通。
「手術に頼らない治療選択肢の提供」を信条に、患者一人ひとりに合わせた丁寧な診療を行っています。