「歩けない」「杖が手放せない」高齢者の股関節痛の原因は?【医師監修】

原因、症状

その「歩けない」「杖が手放せない」は加齢だけが原因じゃない?

「最近、歩くと股関節が痛む」
「立ち上がるのがつらく、杖が手放せなくなってきた」
「病院に行くほどでもないと思っていたけど…」

 こうした悩みを持つ高齢者の方は少なくありません。
しかし、“年のせい”と放置していると、将来的に寝たきりのリスクが高まることも。

 このブログでは、整形外科医が監修のもと、高齢者に多い「股関節の痛みの原因」と、
歩ける身体を取り戻すための治療法・予防策をわかりやすく解説します。


高齢者に多い股関節痛、その主な原因とは?

① 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)

 高齢者の股関節痛のもっとも一般的な原因が、変形性股関節症です。
股関節の軟骨がすり減り、骨同士がこすれ合うことで炎症や痛みが起きます。

特徴的な症状:

  • 歩き始めや立ち上がりでズキッとする痛み

  • 可動域の制限(正座やあぐらができない)

  • 足の長さが変わったように感じる

  • 痛みのために歩行距離が短くなる

 進行すると、杖や手すりなしでは歩行が難しくなるケースも多く、早期の対応が鍵になります。


② 骨粗しょう症による骨折・微小骨折

 特に女性高齢者に多いのが、骨粗しょう症による骨のもろさが原因の痛みです。
転倒などの明らかな外傷がなくても、大腿骨頸部(股関節のつけ根)に微細な骨折が生じることがあります。

サイン:

  • 動いたときに急に激痛が走る

  • 寝返りも困難

  • 痛みの場所がはっきりしている

MRIやCTなどの画像検査が有効です。

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③ 関節リウマチや滑液包炎などの炎症性疾患

 慢性的な炎症によって関節が破壊されるリウマチ性疾患や、
滑液包(関節周囲の潤滑袋)に炎症が起きる滑液包炎も、股関節痛の原因になります。

  • 関節が腫れる

  • 朝のこわばりや全身倦怠感

  • 両側性に痛みが出ることも


「歩けない」「杖が必要」は危険信号!進行度をチェック

チェック項目 内容 危険度
立ち上がりが困難 椅子からの立ち上がりに時間がかかる ★★★
片足立ちが難しい 5秒以上できない ★★☆
股関節が開かない 足の爪切りや靴下が履きづらい ★★☆
杖や手すりが必要 室内移動でも杖が必要 ★★★


痛みを放置するとどうなるのか?

  • ✅ 歩行距離が減り、外出が億劫に

  • ✅ 運動不足により筋力が低下

  • ✅ さらに関節が不安定になり、転倒リスク増加

  • 寝たきり・介護状態へとつながる悪循環

 “まだ歩けるうち”に治療を始めることが、人生後半の活動量を守るカギになります。


整形外科での診断と治療法とは?

診断の基本

  • 問診・触診・可動域検査

  • X線(レントゲン)で関節の変形・骨折を確認

  • 必要に応じてMRI・骨密度検査を追加

保存療法

  • 消炎鎮痛薬(湿布・内服)

  • 理学療法士によるリハビリ指導

  • 装具療法(股関節サポーター)

初期〜中等度の変形性股関節症で有効です。


再生医療による“手術に頼らない治療”も

 PRP療法脂肪幹細胞治療など、
関節の修復を促す再生医療が注目されています。

  • 自分の血液や脂肪から抽出した成分を関節内に注射

  • 炎症を抑え、軟骨の再生をサポート

  • 通院で治療可能・入院不要・副作用が少ない

「年齢的に手術は心配…」という方に適した選択肢です。


生活習慣でできる!股関節ケアの3つの習慣

① 股関節の負担を減らす体重コントロール

肥満は関節への負担を倍増させます。

② 1日10分の「股関節ストレッチ」

無理なく、可動域を維持する簡単ストレッチが効果的。

③ 転倒を防ぐ安全な住環境づくり

手すり・段差の解消・滑り止めなど、家庭内対策も重要です。


まとめ|「歩けない」「杖生活」をあきらめないで

  • 高齢者の股関節痛の原因には変形性股関節症・骨粗しょう症・リウマチなど多様な病気が関与

  • 放置は寝たきりリスクを高めるため早期受診が重要

  • 再生医療を含む保存療法で、手術に頼らず改善する選択肢もあります


当院では「もう歩けないかも」を「まだ歩ける」に変える医療を提供します

  • ✅ 股関節専門医による診察

  • ✅ レントゲン・MRI・骨密度検査に対応

  • ✅ 再生医療(PRP・幹細胞)による先進治療

  • ✅ ご高齢の方へのリハビリサポート・介護相談

👉 「歩くのがつらい」高齢者向け外来を見る
👉 再生医療で杖を手放せた症例紹介

この記事を執筆した人

阿部 瑞洋 医師

  • 整形外科専門医
  • 股関節専門医

一般社団法人エンジョイワーク 阿部整形外科クリニック 院長。
股関節・膝関節の保存療法および再生医療に精通し、年間延べ3万人以上の患者様の診療実績を持つ。最新の医療と親身なカウンセリングで、地域医療に貢献している。

股関節の再生医療PRP療法|阿部整形外科クリニック

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