はじめに|なぜ若い世代に股関節痛が増えているのか?
「運動中に股関節が痛い」「股関節が詰まった感じがして動きづらい」といった症状を抱える若いアスリートが増えています。実は、若い世代に特有の股関節痛には、さまざまな原因が隠れています。今回は、若年層に多い股関節痛の原因やその治療方法について詳しく解説していきます。
スポーツをしている若年層で股関節痛が起こりやすい理由
過度な負荷や繰り返し動作が原因
若年層は体力が豊富で、無理な動作や繰り返しの動きを伴う激しいスポーツを行うことが多くあります。こうした過度な負荷や同じ動作の繰り返しは、股関節周囲の筋肉や関節にストレスを与え、痛みを引き起こす原因となります。
筋力や柔軟性のアンバランス
筋力が不足していたり、柔軟性が不十分であったりすると、股関節に負担が集中してしまいます。特に成長期の若い世代では骨格が完成していないため、筋肉のアンバランスや柔軟性の不足によって関節が不安定になり、痛みの原因になることが多いのです。
若い世代に多い股関節痛の原因疾患
股関節インピンジメント症候群(FAI)
股関節インピンジメントとは、股関節の骨の形状が異常で、大腿骨と骨盤が動作時に衝突することで痛みが生じる病態です。サッカーや野球、ダンスなど股関節を深く曲げる動きが多いスポーツに発症しやすいのが特徴です。
鼠径部痛症候群(グローインペイン症候群)
グローインペイン症候群は、サッカーやラグビーなどの競技者に多く、内転筋や腹筋群が付着する鼠径部付近に痛みが生じます。過剰な負荷が原因であり、痛みを放置すると慢性化することがあります。
腸腰筋腱炎
股関節の前側にある腸腰筋が使いすぎにより炎症を起こし、股関節の前方に痛みが出ます。陸上競技やサッカー選手に多くみられ、走ったり蹴ったりする動作で痛みが強くなります。
恥骨結合炎
恥骨結合炎は、特にランニングやサッカーの選手に多く、骨盤前面の恥骨部分に痛みを感じる疾患です。激しい運動により恥骨部にストレスがかかることで発症します。
股関節痛があるときの適切な治療方法
安静とアイシングによる初期対応
股関節に痛みを感じたら、まずは無理な運動を控え、安静にすることが重要です。炎症を抑えるためにアイシングを行い、腫れや痛みを軽減します。
理学療法による保存療法
股関節痛の初期段階では、理学療法士の指導によるリハビリテーションが有効です。筋力トレーニングやストレッチを行い、股関節周囲の筋肉のバランスを整えることで、痛みを緩和し再発を防止します。
薬物療法
炎症や痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が推奨されます。一時的に症状を抑えることで、運動療法やストレッチをより効果的に行うことができます。
股関節鏡手術(関節鏡手術)
保存療法で改善しない場合、股関節鏡手術を検討することがあります。これは最小侵襲で行われる手術で、インピンジメントの原因となる骨の異常を整形し、痛みや機能障害を改善します。
スポーツでの股関節痛、我慢していませんか?
若年層に多い股関節痛は、早めの診断と治療で改善が可能です。まずは専門医に相談して、適切なケアを始めましょう。
股関節痛の再発を防ぐための日常的ケア
筋力強化と柔軟性の向上
股関節痛を予防するためには、日頃から筋力強化やストレッチを継続的に行いましょう。特に内転筋群、腸腰筋、臀筋群の強化は股関節の安定性を高めます。
適切なウォームアップとクールダウン
運動前にはしっかりとウォームアップを行い、筋肉や関節を準備することが重要です。また運動後のクールダウンやアイシングも忘れずに実施しましょう。
専門家による定期的なチェック
股関節痛が再発しやすい場合は、定期的に整形外科や理学療法士のチェックを受け、自分の身体の状態を把握することが再発防止につながります。
まとめ|若い世代こそ股関節ケアを意識しよう
若い世代での股関節痛は早期に正しい対処を行うことで改善可能です。痛みを放置せず、自分の体のサインに敏感になり、適切なケアを継続して行いましょう。スポーツ活動をより充実させ、怪我なく楽しむためにも、股関節の健康管理を心がけてください。
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当院では整形外科専門医による診察・治療に加え、理学療法士によるリハビリを提供しています。症状の早期改善と再発予防をサポートいたします。
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このブログの監修医師
阿部 瑞洋 医師(整形外科専門医/スポーツ医学)
一般社団法人エンジョイユアワーク 阿部整形外科クリニック院長。若年層のスポーツ障害、股関節疾患の治療に豊富な経験を持ち、アスリートのコンディション向上や怪我の予防にも積極的に取り組んでいる。
※本記事は整形外科専門医の監修のもと、最新の医学的知見に基づいて作成されています。症状や治療には個人差がありますので、必ず専門医の診断を受けてください。