はじめに:その「つまり感」、放っておいていませんか?
長時間のデスクワークで座り続けていると、「足の付け根がつまるような感じがする」「立ち上がるときに違和感がある」――そんな悩みを感じたことはありませんか?
その症状、単なる“座り疲れ”ではなく、股関節の可動域制限や筋肉の緊張が関係しているかもしれません。
このブログでは、整形外科専門医の視点から、デスクワークで起こる股関節の“つまり感”の原因と、今日からできる簡単なストレッチ方法について詳しく解説します。
足の付け根がつまる原因とは?
原因1:股関節前面の筋肉が硬くなっている
長時間の座位姿勢では、腸腰筋(ちょうようきん)や大腿直筋(だいたいちょっきん)といった股関節前面の筋肉が縮んだままになります。
この状態が続くと、筋肉が硬くなり、立ち上がった際に股関節がスムーズに伸びず、「脚の付け根がつまる」「引っかかる」といった感覚が出やすくなります。
原因2:股関節周囲の関節の動きが悪くなっている
デスクワーク中心の生活では、股関節そのものの動き(可動域)も低下しやすくなります。
特に、内旋・外旋の動きが制限されると、歩行や階段の昇降時に違和感を感じることがあります。
原因3:「股関節インピンジメント(FAI)」の可能性も
一部の人では、股関節の骨の構造に問題がある「FAI(股関節インピンジメント)」という病気が隠れていることもあります。
FAIとは、骨盤側の寛骨臼(かんこつきゅう)と大腿骨の骨頭が正常にかみ合わず、動作の際に骨同士がぶつかることで痛みやつまり感を引き起こす状態です。
今すぐできる!足の付け根のつまり感を軽減するストレッチ3選
医師の監修のもと、自宅やオフィスでも簡単にできるストレッチを3つご紹介します。
① 腸腰筋ストレッチ(ランジストレッチ)
やり方:
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片膝を床に、反対の足は前に出して90度に曲げる(ランジ姿勢)
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骨盤を前に押し出すようにして、後ろ足側の股関節前面を伸ばす
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15〜30秒キープ×左右2セット
ポイント:
腰を反らさず、骨盤をまっすぐ前に出す意識で行いましょう。
② お尻の筋肉をほぐすストレッチ(梨状筋ストレッチ)
やり方:
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仰向けで膝を立てる
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片方の足首を反対の膝にかける(脚を組む)
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そのまま膝を抱え、体に引き寄せる
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お尻の奥が伸びている感覚があればOK
ポイント:
反動をつけず、呼吸を止めないようにリラックスして行いましょう。
③ 股関節の内旋・外旋運動(ねじり運動)
やり方:
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椅子に浅く座り、両足を肩幅に広げる
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片方の膝を内側に倒し、次に外側に倒す
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ゆっくりと10回ずつ動かす
ポイント:
無理に動かさず、痛みのない範囲で可動域を広げていくのがポイントです。
つまり感を悪化させないための生活習慣の工夫
1時間に1回は立ち上がる・歩く
「ずっと座りっぱなし」は、筋肉や関節の循環不良を招きます。
最低でも1時間に1回は立ち上がって歩く・股関節を動かすようにしましょう。
座り方を見直す
・骨盤を立てて座る
・膝が股関節より高くならないよう、椅子の高さを調整する
・浅く腰掛けず、背もたれを使って姿勢を保持する
仕事前後のストレッチを習慣にする
朝の準備運動や、仕事終わりの軽いストレッチを習慣化することで、筋肉の緊張や股関節のつまり感を軽減しやすくなります。
注意すべき症状がある場合は整形外科へ
以下のような症状がある場合は、単なる“疲れ”ではなく、疾患が隠れている可能性があるため、医療機関の受診をおすすめします。
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股関節の痛みが日に日に強くなる
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夜間痛(寝ていても痛い)
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動かすたびに「ゴリゴリ」「ポキポキ」といった音がする
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歩行に支障をきたす
代表的な股関節疾患の例
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変形性股関節症
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股関節インピンジメント(FAI)
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鼠径部痛症候群(グロインペイン)
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大腿骨頭壊死 など
まとめ|放置せず、早めの対策を
デスクワークによる脚の付け根の“つまり感”は、多くの場合、筋肉の柔軟性低下や股関節の可動域減少が原因です。
しかし、放っておくと慢性的な痛みや重大な疾患につながることもあります。
今日からできるストレッチや生活習慣の見直しで、股関節の健康を守っていきましょう。
もし違和感や痛みが長引く場合は、整形外科専門医にご相談ください。
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