「股関節を動かすとゴリゴリ音がする」「足の付け根が詰まる感じがする」——そんな違和感を覚えたことはありませんか?
放っておくと、変形性股関節症へと進行するリスクもあるため、早めの対応が大切です。

股関節が“詰まる・引っかかる”と感じる理由
股関節は、骨盤側の「臼蓋」と太ももの骨「大腿骨頭」がかみ合う構造になっています。
正常であれば滑らかに動くのですが、次のような要因で動きが制限され、詰まり感や引っかかり感を感じることがあります。
① 股関節インピンジメント(FAI)
大腿骨や骨盤の形にわずかな異常があることで、関節を曲げた際に骨同士がぶつかる状態です。
長時間座ったあとに立ち上がると「ピキッ」と痛む方は、このタイプの可能性があります。
② 臼蓋形成不全
生まれつき股関節の受け皿が浅いことで、関節が安定せず動きに制限が出ます。
関節唇(かんせつしん)と呼ばれるクッション部分が摩耗して、引っかかるような感覚を覚えることがあります。
③ 筋肉・腱の硬さ
中臀筋・腸腰筋・大腿直筋など、股関節を支える筋肉が硬くなると、関節が十分に動かず「詰まる」ように感じます。
特にデスクワークや運動不足が続く人は、筋肉の柔軟性低下が原因で痛みや違和感が出やすくなります。
股関節が硬い人に共通する生活習慣
- 長時間の座り姿勢(骨盤が後傾して関節が詰まりやすくなる)
- ストレッチ不足・運動習慣の欠如
- 体重増加による股関節への過負荷
- 片脚に体重をかける立ち方・歩き方のクセ
これらの生活習慣が積み重なることで、股関節まわりの筋肉が硬くなり、関節の可動域が狭くなります。
その結果、「動かすと痛い → 動かさない → さらに硬くなる」という悪循環に陥ってしまうのです。
セルフチェック|股関節の硬さを確認する方法
以下の項目に当てはまる場合は、股関節の柔軟性が低下している可能性があります。
- 仰向けで片脚を抱えたとき、太ももが胸につかない
- あぐらをかくと片膝が大きく浮いてしまう
- 靴下を履くときに足が上げにくい
- 長く歩くと足の付け根がだるくなる
一つでも当てはまる場合は、股関節の可動域制限や筋肉の硬さがある可能性があります。
この段階でケアを始めれば、進行を防げる可能性が高いです。
股関節をやわらかくするための改善法
① ストレッチで柔軟性を回復
股関節前面(腸腰筋)と側面(中臀筋)を中心にストレッチを行うことで、可動域が広がり、詰まり感が改善されやすくなります。
おすすめストレッチ例:
- ランジストレッチ(腸腰筋を伸ばす)
- 横向き寝のヒップストレッチ(中臀筋の柔軟性UP)
- あぐら姿勢での股関節まわし(関節の動きを促す)
② 筋トレで支える力をつける
股関節を安定させる中臀筋・内転筋を鍛えると、関節の動きがスムーズになります。
- ヒップアブダクション(横向き脚上げ)
- スクワット(無理のない範囲で)
- お尻歩き(骨盤の安定化)
再生医療という新たな選択肢
ストレッチやリハビリでも改善しない痛みがある場合、関節内の炎症や軟骨損傷が進んでいる可能性があります。
そのようなケースでは、PRP療法(自己血小板を利用)や幹細胞治療などの再生医療が有効な選択肢となります。
これらの治療は、炎症を抑えながら組織の修復を促す効果が期待され、
「手術を避けたい」「自然な治癒力を高めたい」という方に選ばれています。
「その股関節の詰まり、放置していませんか?」
阿部整形外科クリニックでは、MRIを用いた正確な診断と再生医療(PRP・APS・幹細胞治療)を行っています。
症状に応じて保存療法から再生医療まで、最適な治療をご提案します。
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まとめ|“硬さ”の先にあるリスクを知ろう
股関節の詰まりや引っかかりは、単なる柔軟性の問題ではなく、関節の構造変化のサインであることも少なくありません。
放置せず、早めに整形外科で原因を確認し、日常ケアと専門治療を組み合わせていきましょう。
股関節を守ることは、これからの人生を快適に動き続けるための“投資”です。
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境駅)
変形性関節症や股関節・膝関節の再生医療を専門とし、
「手術以外の選択肢を患者に提供する医療」を実践。
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