はじめに|なぜスポーツをしていると股関節が痛くなるのか?
「サッカーをすると股関節の前が痛む…」
「テニスやゴルフのあと、股関節の付け根がズキズキする…」
こういったスポーツ中または後の股関節痛は、年齢や競技を問わず多くの人が経験しています。
股関節は「体幹」と「脚」をつなぐ非常に重要な関節で、可動域が広く負荷も大きいため、繰り返しの動きや急激な動作に弱い部位でもあります。
このブログでは、スポーツ別に多い股関節痛の原因と、ケア・予防法について詳しく解説します。
ご自身の競技と照らし合わせて、痛みのサインを見逃さないようにしましょう。
【基礎知識】スポーツによる股関節痛の主な原因とは?
股関節に痛みが出るメカニズム
股関節痛は、「筋肉」「腱」「軟骨」「骨」「神経」など、さまざまな組織が原因で起こります。
スポーツによって痛む場所やメカニズムが異なるため、競技の動きに着目した原因の見極めが重要です。
よくある股関節の障害・疾患
疾患名 | 概要 | 特徴的な症状 |
---|---|---|
グローインペイン症候群 | 腸腰筋・内転筋・恥骨周囲の障害 | 鼠径部や太もも付け根の痛み |
股関節インピンジメント(FAI) | 骨の形状異常で骨と骨が衝突 | 股関節の前方にズキッとした痛み |
変形性股関節症 | 軟骨のすり減りや加齢による変形 | 動き始めに痛み、可動域制限 |
大腿骨疲労骨折 | 骨への過度な負荷 | 歩行時に痛みが増し、圧痛あり |
腸腰筋炎・滑液包炎 | 使いすぎによる筋肉の炎症 | 曲げ伸ばし時にズキズキする |
【スポーツ別】股関節痛が起こりやすい競技と原因
サッカー|切り返し・キック動作が股関節を酷使する
主な原因
- グローインペイン症候群(鼠径部痛症候群)
- 内転筋の過緊張や炎症
- FAI(股関節インピンジメント)
✅ 解説
サッカーは走る・止まる・蹴る・ひねる動作が多く、内転筋と股関節前面に強い負担がかかります。
股関節の柔軟性が不足している選手や、フォームが乱れた状態での繰り返し動作により痛みが出やすくなります。
野球・ソフトボール|回旋動作による偏ったストレス
主な原因
- 股関節のインピンジメント(FAI)
- 体幹と股関節の連動不良
- 片側ばかり使うことによる左右差の蓄積
✅ 解説
バッティングやピッチングは、体をひねる“回旋”の動作が多く、特に軸足側の股関節に強いねじれストレスが加わります。
利き足ばかりを使うことで、股関節の動きが偏り、軟骨や関節唇への衝突(インピンジメント)が起こることがあります。
テニス・バドミントン|瞬発的な動きとストップ動作の連続
主な原因
- 腸腰筋・大腿筋膜張筋の過緊張
- 股関節の滑液包炎
- 内転筋の炎症・断裂
✅ 解説
左右への素早いステップやストップ動作が連続する競技では、股関節外側や前側の筋肉・腱に過度な収縮と伸長が起こります。
特に姿勢が崩れた状態での踏み込みやストップ動作は、滑液包の炎症や腸腰筋への負荷を高めます。
ゴルフ|スイング時の軸脚に負担集中
主な原因
- スイング側のFAI(股関節衝突症候群)
- 筋力不足による骨盤の不安定性
✅ 解説
ゴルフでは、スイング時に股関節と骨盤が連動して動く必要があります。
しかし、筋力不足や柔軟性の低下により、軸脚側の股関節が無理な角度で圧迫され、痛みが生じることがあります。

Evoto
ランニング・陸上|繰り返しの衝撃とフォームの乱れ
主な原因
- 腸腰筋炎・中殿筋の過労
- 大腿骨疲労骨折
- 変形性股関節症の早期兆候
✅ 解説
長距離ランナーでは、地面からの衝撃が股関節に蓄積されることで、骨や筋肉に炎症が生じやすくなります。
また、フォームの左右差やオーバーストライドが、股関節への過剰な伸展を引き起こす原因となります。
【セルフチェック】あなたの股関節の痛みはどこから?
痛む場所・タイミング別チェックリスト
症状の特徴 | 疑われる原因 | 対応方法 |
---|---|---|
股関節の前側がズキズキする | インピンジメント・腸腰筋炎 | ストレッチ・整形外科での検査 |
歩くと内ももが痛い | グローインペイン・内転筋炎 | 安静・超音波治療・リハビリ |
骨の奥が響くような痛み | 疲労骨折・変形性股関節症 | X線・MRI検査+専門治療 |
動かすと「引っかかる」ような感覚 | 関節唇損傷・FAI | 整形外科的評価+保存治療 |
【予防と治療】スポーツによる股関節痛を防ぐために
1. 競技前後のストレッチを徹底
- 腸腰筋・内転筋・殿筋群の柔軟性を高める
- 特に運動後のクールダウンを丁寧に行うことで炎症を予防
2. 体幹と股関節の連動性を意識したトレーニング
- プランクや片脚スクワットで骨盤・股関節の安定性を高める
- 競技フォームのチェックも重要(専門家と相談)
3. 痛みが続く場合は整形外科・スポーツクリニックへ
- 股関節の痛みは「初期のうちに対処すること」が回復の近道です
- 無理にプレーを続けると軟骨損傷や長期離脱に繋がる恐れもあります
まとめ|スポーツ別の股関節痛は“競技の特性”を理解して予防する
股関節の痛みは、どのスポーツでも起こり得るものですが、「原因は競技ごとに異なる」という点がポイントです。
痛みを我慢せず、股関節の専門医にご相談ください。
当院では、競技特性に応じた診断・保存療法・トレーニング指導まで一貫してサポート。<br>
股関節の状態を見極めて、復帰・パフォーマンス維持をお手伝いします。</p>
✅ スポーツ整形専門医在籍
✅ 完全予約制・個別対応
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▶ 本記事のまとめ
- サッカー:キック・方向転換で内転筋や関節に負担
- 野球・ゴルフ:回旋動作でインピンジメントや片側負担が蓄積
- テニス・バドミントン:ステップやストップで筋肉疲労・滑液包炎
- ランニング:反復衝撃で炎症や疲労骨折リスク
日々のストレッチ・フォーム改善・早期受診を意識しながら、
股関節のケアを取り入れて、パフォーマンスを長く保つことが大切です。
この記事の監修医師
阿部 瑞洋 医師(整形外科・股関節専門医)
一般社団法人エンジョイユアワーク 阿部整形外科クリニック 院長。
自身も小さい頃より、野球、卓球、バドミントン、テニス、ゴルフなどのスポーツを経験し、スポーツ特性の体の痛みに対し、治療経験してきた経緯がある。スポーツ整形・股関節痛に関する臨床経験が豊富で、スポーツ少年から大人まで、不安に寄り添った診療を心がけている。日本整形外科学会所属。