「うちの子、最近『膝が痛い』と言って、少し足をかばうように(びっこを引いて)歩くんです。成長痛だと思うんですが、念のため診てもらえますか?」
僕の診察室に、親御さんに連れられてやってくる小学校高学年〜中学生の子供たち。もし、少しぽっちゃりとした体型の男の子がこのように「膝や太ももの痛み」を訴えてきた場合、僕たち股関節専門医の頭の中では、真っ先に「ある恐ろしい疾患」の警報が鳴り響きます。
こんにちは。阿部整形外科クリニック院長の阿部です。
骨折から順調に回復し、再び自分の足でしっかりと歩ける喜びを噛み締めている毎日ですが、これから未来へ向かって大きく羽ばたく子供たちの「歩く機能」を守ることは、整形外科医として最も重要で責任のある使命です。
今回は、親御さんが絶対に知っておくべき子供の股関節疾患『大腿骨頭すべり症(だいたいこっとうすべりしょう)』について、結論ファーストで、専門医の視点から徹底解説します!

1. 結論:子供の「長引く膝痛」は、股関節の骨がズレているサインかもしれない
「結論からお伝えします」。
10代前半の子供が訴える膝や太ももの痛みを、「ただの成長痛だ」と素人判断で放置するのは極めて危険です。その痛みの本当の原因は膝ではなく、「股関節の根本の骨が、ズレて(滑り落ちて)いるから」かもしれません。
成長期の子供の骨の先端には「成長軟骨(骨端線)」という、骨が伸びるための柔らかい層があります。大腿骨頭すべり症とは、この柔らかい層の部分で、体重を支える股関節の丸い骨(大腿骨頭)が、文字通り「ズルッ」と後ろに滑り落ちてしまう病気です。
少し視点を変えて、「夏場のアイスクリーム」で考えてみましょう。
コーン(太ももの骨)の上に、丸いアイスクリーム(股関節の丸い骨)が乗っています。成長期という「骨が柔らかくなる時期(アイスが少し溶けかかった状態)」に、急激な体重増加やスポーツの激しい負荷がかかると、コーンの上からアイスクリームがズルッと滑り落ちてしまいますよね。これが関節の中で起きているのです。

2. 専門医が解説!見逃してはいけない「3つの数値と事実」
アイスクリームが完全に落ちてしまう(重症化する)と、骨への血流が途絶え、骨が腐ってしまう「大腿骨頭壊死」という一生残る後遺症に繋がります。これを防ぐために、親御さんが注意すべき明確な事実と数値のサインを3つ挙げます。
① 年齢「10歳〜15歳」、体格「BMI(肥満度)が高め」の男児
この病気は、急激に身長が伸びる「10歳〜15歳(小学校高学年〜中学生)」に集中して発症します。また、体重が重いほど股関節(アイスクリーム)にかかる負荷が大きくなるため、ややぽっちゃりした体型の男の子に圧倒的に多く見られます。
② 痛みの期間「1週間以上」と「関連痛の罠」
成長痛であれば、数日休んだり、さすったりすれば痛みは和らぎます。もし痛みが「1週間以上」続く場合、または痛くて足をひきずる(跛行)場合は、すぐに整形外科を受診してください。また、股関節の神経は膝まで繋がっているため、「股関節が悪いのに膝が痛いと感じる(関連痛)」という最大の罠に騙されないでください。
③ 足を曲げると「外側に開いてしまう(Drehmann徴候)」
仰向けに寝た状態で、親御さんが子供の痛い方の膝を胸に近づけるように曲げてみてください。もし、膝がまっすぐ胸に付かず、自動的に「外側(ガニ股の方向)に逃げてしまう」場合、それは骨が滑っている決定的な事実(医学的にはドレーマン徴候と呼びます)です。

3. 徳によって絆を結ぶ。「すぐに手術ができる病院へ送る」という決断
大人の股関節の痛みには「メスを入れずに再生医療で治す」ことを第一とする当院ですが、この『大腿骨頭すべり症』に関しては方針が180度異なります。
滑り落ちたアイスクリームは、薬やリハビリでは元に戻りません。これ以上滑らないように、一刻も早く「金属のピンで骨を固定する緊急手術」が必要です。
僕たち阿部整形外科クリニックは、徳によって絆を結ぶ「絆徳(ばんとく)」の理念を持っています。当院の利益のために無理に通院させるようなことは絶対にしません。
僕がレントゲンやエコーを駆使して「数ミリの滑り」を正確に見つけ出し、確定診断を下した瞬間に、最も信頼できる小児整形外科の手術専門病院へ責任を持って迅速に紹介・連携します。この「正確な初期診断とスピード」こそが、子供の未来の関節を守る最大の防御なのです。
そして、無事に手術が終わった後は、当院が誇る8人のリハビリスタッフ(ピットクルー)の出番です。筋力を回復させ、スポーツに安全に復帰するためのリハビリは、僕たちプロフェッショナルチームが全力で伴走します。

「~できるようになるといいですよね!」
「親御さんも、お子さんが痛みを我慢せず、また元気にグラウンドを走り回れる日を心から願っているはずです」
「~できるようになるといいですよね!」
早期に発見し、適切な処置を行えば、また思い切りスポーツを楽しみ、将来も自分の足で力強く歩み続けることができます。
「できるだけ早く治して、笑顔でここを卒業しましょう!」
子供は「股関節が痛い」と正確に表現できないことが多々あります。「ただの成長痛かな?」と迷ったら、様子を見ずに、まずは僕に診せてください。レントゲン1枚で、お子さんの未来を守ることができます。診察室でお待ちしています!

「子供の膝痛・股関節痛を放置しないでください」
1週間以上続く痛みや、足をかばう歩き方は危険なサインです。
専門医による迅速で正確な診断が、お子様の未来の歩行を守ります。

