「先生、こんなこと聞いてもいいのか迷ったんですけど……」
診察室で患者様からこう切り出される質問には、実は医学的にとても重要なヒントが隠されていることが多いんです。毎日たくさんの患者様を診ていると、「あ、これってみんなが気になっていることなんだな」と気づかされます。
こんにちは。阿部整形外科クリニック院長の阿部です。
僕は今、自分自身が骨折のリハビリ中ということもあり、一人の「患者」として皆さんと同じような疑問を持つこともあります。「この雨の日の重だるさは何なんだ?」とかね(笑)。
今回は、第23回という節目に、普段の診察室やYouTubeのコメント欄でよくいただく質問を厳選し、前編・後編に分けて本音で回答していきます。第1位から第5位まで、1.5倍の濃い内容でお届けします!
【第1位】「雨の日や台風の前に痛むのは、気のせいですか?」
結論:気のせいではありません。医学的な理由があります。
これは「気象病」とも呼ばれます。天気が崩れる時は気圧が下がります。すると、人間の体は内側から外側へ膨らもうとする力が働き、関節の袋(関節包)の内圧が高まって神経を刺激するのです。また、自律神経が乱れて痛みに敏感になることも分かっています。
「私の股関節、天気予報より当たるんです」という方は多いですが、それはあなたの身体が気圧の変化を敏感に察知している証拠。無理せず、ゆったり過ごして良い日なんですよ。
【第2位】「痛いところをマッサージしても良いですか?」
結論:やり方によっては「逆効果」になります。
股関節が痛い時、ついグリグリと揉みたくなりますよね。しかし、炎症が起きている真っ最中の関節を強く揉むと、炎症が悪化して余計に痛くなることがあります。
大切なのは「関節」ではなく、その周りの「硬くなった筋肉」を優しくほぐすこと。特にテニスボールなどを使ってお尻の筋肉(大臀筋など)を緩めるのは有効ですが、付け根の深い部分を強く押すのは避けてください。迷ったら、当院の理学療法士に正しいほぐし方を聞いてくださいね。
【第3位】「グルコサミンやコンドロイチンを飲めば軟骨は再生しますか?」
結論:残念ながら、飲んだサプリがそのまま軟骨になることはありません。
「結論からハッキリ言います」が僕のスタイルですので、正直にお伝えします。サプリメントはあくまで「食品」です。口から摂取した成分が、そのまま股関節の軟骨にピンポイントで届いて再生させる、というエビデンスは今のところ不十分です。
ただし、抗炎症作用などで痛みが和らぐと感じる方もいらっしゃいます。否定はしませんが、サプリにお金をつぎ込むなら、その分を良質なタンパク質(お肉や魚)を食べることに回した方が、骨や筋肉の材料としては圧倒的に効率的です!
【第4位】「お風呂で温めた方がいいですか?それとも冷やすべき?」
結論:基本は「温める」。でも、ズキズキする時は「冷やす」。
慢性的で重だるい痛みの場合は、お風呂でゆっくり温めて血流を良くするのが正解です。筋肉がほぐれて痛みも和らぎます。
しかし、歩きすぎて熱を持っていたり、何もしなくてもズキズキ疼くような「急性の炎症」がある時は、温めると逆効果。氷のうなどで15分ほど冷やす(アイシング)のが正解です。自分の痛みが「ジワジワ」か「ズキズキ」かで見極めましょう。
【第5位】「痛くても歩いた方がいいですか?安静にすべき?」
結論:痛みの種類によります。「動かさない」のもリスクです。
一昔前は「痛いなら安静に」と言われましたが、今は違います。安静にしすぎると、僕の足のように(笑)筋肉が一気に落ちて関節が固まってしまいます。
目安は、「動かしている最中に、痛みがどんどん強くなるかどうか」。動いているうちに少しほぐれてくる程度の痛みなら、散歩はOKです。逆に、一歩ごとに痛みが突き刺さるような時は、関節が悲鳴を上げているのでお休みしましょう。この「さじ加減」が難しいので、ぜひ診察室で僕に今の痛みの感じ方を教えてください。
「~できるようになるといいですよね!」
「どんな些細な疑問でも、僕にぶつけてください。ご家族が心配されていることでも構いません。僕たち医師にとって、患者様の『なぜ?』を知ることは、治療を成功させるための大きなヒントになるんです」
「できるだけ早く疑問を解消して、笑顔でここを卒業しましょう!」
骨折リハビリ中の僕も、「あ、この筋肉が固まると痛いんだな」と日々発見の連続です。診察室では、教科書通りの回答ではなく、僕の実体験も交えてお答えしますよ。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の痛み」です
あなたの股関節を守るために、疑問をゼロにして治療に専念しましょう。
次回の後編では、第6位から第10位まで「再生医療の本音」や「体重管理」についてお話しします。お楽しみに!


