はじめに:小さな子どもの「股関節の痛み」を見逃していませんか?
「子どもが歩くと痛がる」
「運動のあとに足を引きずっている」
「特にケガはしていないのに股関節が痛いと言う…」
幼児期から学童期にかけての子どもが訴える股関節の痛みには、成長に伴う一過性の痛みから、重大な疾患の初期サインまでさまざまな原因が潜んでいます。
このブログでは、幼児期〜学童期の股関節痛の主な原因・注意すべき疾患・治療法や対処法を、保護者の方にもわかりやすく解説します。
「子どもが急に足を痛がったらどうすれば?」という不安に応える内容です。
幼児期~学童期に見られる股関節痛の主な原因とは?
成長にともなう身体の変化と負荷
股関節は、体重を支えながら広い可動域を持つ重要な関節です。
成長期には骨や筋肉が急速に発達する一方で、関節や腱、筋肉にアンバランスな負荷がかかりやすくなります。
股関節に痛みが生じる主な原因は以下の通りです。
①単純性股関節炎(たんじゅんせいこかんせつえん)
✅ 概要
3〜10歳ごろの男の子に多く、ウイルス感染や微細な外傷のあとに起こる一時的な炎症です。いつもはしないような運動、運動会や外出、旅行の後などに起こることもあります。
✅ 症状
- 急に足を引きずる・歩きたがらない
- 股関節や膝の内側を痛がる
- 風邪の後に発症することが多い
- 数日〜1週間ほどで自然に回復する
✅ 治療法
- 安静と経過観察
- 痛み止め(解熱鎮痛剤)を医師の指示で使用
- 改善しない場合は整形外科で検査が必要
② ペルテス病(大腿骨頭壊死症)
✅ 概要
4~10歳の男子に多くみられる、大腿骨の骨頭(股関節の丸い部分)への血流が一時的に途絶え、骨が壊死する病気です。
✅ 症状
- 片脚を引きずるような歩き方(跛行)
- 動かすと股関節に痛み
- 膝の痛みとして訴えることも
- 早期発見と適切な治療が重要、すぐに医療機関へ
✅ 治療法
- 安静と股関節の免荷(体重をかけない)
- ギプス・装具などによる矯正治療
- 症状が強い場合は手術を行うケースもあり
- 長期経過観察が必要
③ 大腿骨頭すべり症(だいたいこっとうすべりしょう)
✅ 概要
10歳以降の思春期の子ども(特に肥満の男子)に多く、大腿骨の骨頭がずれることで股関節に痛みが出る疾患です。
✅ 症状
- 股関節の痛みから始まり、膝や太ももにも広がる
- 歩くのがつらくなり、足を引きずる
- 早期に診断しないと関節に後遺症が残ることも
✅ 治療法
- 原則としてすぐに手術(骨頭の固定)が必要
- 早期発見がカギ
- 術後はリハビリと成長期の経過観察が大切
④ その他の原因
- 成長痛(股関節周囲の筋肉の緊張)
- グローインペイン(スポーツによる股関節の疲労)
- 先天性股関節脱臼の後遺症
- 外傷(転倒・打撲)
股関節痛のチェックポイント|自宅で確認すべき症状とは?
観察のポイントは「歩き方」「痛がり方」「経過時間」
✅ 要チェックのサイン
- 片脚だけをかばって歩いている(跛行)
- 動かすと痛がる or 自然に歩けない
- 発熱・風邪のあとに痛みを訴える
- 2〜3日経っても改善しない
- 朝より夕方に痛みが強くなる
こんなときはすぐ病院へ
- 熱を伴う痛み(感染の可能性)
- 夜間も痛がって眠れない
- 動かしただけで激しく泣く
- 一度治っても再発を繰り返す
子どもの股関節痛に対する治療の考え方
長引く場合は、股関節整形外科を受診するのがベスト
治療の基本は「原因に応じた対応」
- 単純性股関節炎 → 安静+経過観察
- ペルテス病・すべり症 → 長期治療+経過観察 or 手術
- 外傷やスポーツ障害 → リハビリや運動制限
早期発見のメリット
- 治療期間が短く済む
- 将来的な関節の変形や障害を予防できる
- 手術を回避できる可能性もある
自宅でできるサポートと予防策
親としてできる3つのケア
1. 無理な運動は控える
痛みがあるときは、無理に歩かせたり動かしたりせず、まずは安静第一。
2. 体重管理と運動習慣のバランス
肥満傾向は関節への負担になります。食生活と運動のバランスを整えることが、長期的な予防につながります。
3. 異変に気づいたらすぐ専門医へ
股関節のトラブルは見逃されやすいですが、正確な診断がとても重要です。整形外科、股関節整形の専門医を受診しましょう。
お子さまの股関節痛、気づいたときが“早期治療のチャンス”です。
「様子見でいいのかな…?」と迷ったら、一度専門医の診察を受けてみてください。
股関節整形の視点で、痛みの原因をしっかり確認いたします。
まとめ|幼児期~学童期の股関節痛は早めの対応が大切です
股関節の痛みは、ただの成長痛だと思って見逃すと、重い疾患につながることもあります。
▶ 本記事のポイントまとめ
- 幼児~小学生で多いのは「単純性股関節炎」「ペルテス病」「すべり症」など
- 自然に治るケースもあるが、長引く場合はすぐ受診を
- 原因に応じた治療で、ほとんどのケースは回復が見込める
子どもの「歩き方の変化」や「痛がる仕草」に気づいたら、親御さんが早めに行動することが、未来の健康を守るカギになります。早めの受診で、お子さんの健康を守りましょう!!
子どもの未来のために、今できることを
当院では、幼児期〜学童期のお子さまに多い股関節疾患に対応した診療体制を整えています。
小さな違和感でも、お気軽にご相談ください。
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