「足のつけねが詰まる感じがする」
まだ強い痛みがなくても、放っておくと軟骨や関節唇(かんせつしん)が傷つき、
変形性股関節症の前段階になることがあります。
今回は、股関節の“詰まり”“引っかかり”の原因と、早期にできる対処法を専門医がわかりやすく解説します。

“詰まる”“引っかかる”の正体とは?
股関節は、骨盤の「受け皿(臼蓋)」と大腿骨の「ボール(骨頭)」がかみ合って動く関節です。
このボールと受け皿の動きがスムーズでないと、骨や軟骨がぶつかり合って摩耗し、詰まるような違和感が出ます。
特に、曲げたり・ひねったりする動きで引っかかる感じがある場合、
股関節内で微細な衝突が起きていることが考えられます。
考えられる主な原因疾患
① 股関節インピンジメント(FAI)
骨の形がわずかに変形していることで、動かしたときに骨同士がぶつかる病気です。
スポーツをしていた方や柔軟性の高い方に多く見られます。
- 股関節を深く曲げると痛い・詰まる
- 座った状態から立つときにズキッとする
- 特定の角度で「引っかかり」を感じる

② 臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)
股関節の受け皿が浅いため、骨頭をしっかり支えられず、関節に負担が集中します。
特に日本人女性に多く、40〜50代で症状が出るケースが増えています。
- 足のつけねの前方が詰まるように痛む
- 長く歩くとだるさや違和感
- 姿勢や体重で症状が変化

③ 股関節唇損傷
股関節のフチにある軟骨(関節唇)が傷つき、
動作時に引っかかり感やクリック音が出ることがあります。
初期段階ではレントゲンで異常が見つからないため、MRI検査が有効です。
放置すると起こること
この段階で放置すると、関節の摩擦が増え、軟骨のすり減りが進行。
変形性股関節症の原因になることがあります。
また、引っかかりを避けようとした動きのクセが、
腰や膝の痛みにつながるケースも珍しくありません。
- 動作時にズキッとする痛みが出てきた
- 股関節の可動域が狭くなった
- 歩幅が小さくなり、足が上がりにくい

診断と検査
レントゲンでは骨の形しか分からないため、MRIでの確認が不可欠です。
関節唇や軟骨、筋肉の炎症など、初期段階の変化を見逃さずに特定できます。
当院では、MRI診断+リハビリ+再生医療を組み合わせ、
「原因の可視化」と「早期回復」の両立を目指しています。
治療法:状態に合わせた3ステップ
① 保存療法(リハビリ)
股関節を安定させる中臀筋や腸腰筋を中心に、筋肉バランスを整えます。
ストレッチ・体幹トレーニングも有効です。
② 炎症のコントロール(注射)
ヒアルロン酸や痛み止め注射で炎症を抑えます。
ただし、根本的な修復には至らないため、効果が限定的な場合があります。
③ 再生医療(PRP・APS)
自分の血液から取り出した成長因子を注射し、炎症を抑えつつ修復を促進します。
“詰まりや違和感”の段階で行うと、進行を抑える可能性があります。
詳しくはこちら 👉 股関節の再生医療 特設ページ
日常で気をつけるポイント
- 深くしゃがむ動作を避ける
- 脚を組む・あぐらを長時間かかない
- 冷えを防ぐ・ストレッチを習慣にする
- 違和感が続く場合は早めの検査を
まとめ|“詰まる感じ”は放置しないで
股関節の“詰まり”や“引っかかり”は、関節のトラブルが始まっているサイン。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、変形が進むこともあります。
違和感のうちに原因を突き止め、適切な治療を受けることで、
手術をせずに関節を守ることが可能です。
「股関節が詰まる」「引っかかる」そんな違和感、放置していませんか?
阿部整形外科クリニックでは、MRI検査・リハビリ・再生医療を組み合わせ、
早期の股関節異常にも対応しています。
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境)
股関節・膝関節の再生医療・保存療法を専門とし、
「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践。
▶ 阿部整形外科クリニック公式サイト

