はじめに|股関節の詰まるような痛み、放置していませんか?
「足の付け根が詰まるように痛い」 「立ち上がるときに股関節の内側がズキッとする」 「深くしゃがむと股関節が引っかかる感じがする」
そんな違和感を覚えたことはありませんか?その症状、股関節インピンジメント(FAI)と呼ばれる状態かもしれません。
股関節インピンジメントは、放置すると軟骨や関節唇(かんせつしん)を損傷し、変形性股関節症へと進行するリスクもあります。本記事では、セルフチェックの方法から、対処法、改善のための生活習慣まで、わかりやすく解説します。
股関節インピンジメントとは?
骨同士がぶつかってしまう関節障害
股関節インピンジメント(FAI:Femoroacetabular Impingement)は、股関節の骨の形状異常により、大腿骨頭と骨盤側の骨(寛骨臼)が正常に動かず、動作のたびにぶつかってしまうことで痛みが起きる状態です。
FAIの主なタイプ
- カム型:大腿骨頭が丸くないために寛骨臼に引っかかる
- ピンサー型:寛骨臼が深すぎる/突出しているため、大腿骨に当たる
- 混合型:両者の特徴を併せ持つ
若年〜中年層のスポーツ愛好者に多く、サッカー、バスケットボール、バレエ、体操など股関節を大きく使う競技で頻発します。
セルフチェック|簡単にできるFAIの確認方法
FADIRテスト(簡易チェック法)
- 仰向けに寝る
- 膝を90度に曲げて股関節を屈曲させる
- 膝を内側に倒しながら、足を外に開く
このとき、股関節の前側や内ももに鋭い痛みや違和感を感じた場合、インピンジメントの可能性があります。
※あくまで簡易チェックのため、痛みがある方は整形外科での診断が必要です。
他にも見られる兆候
- 足の爪を切るときに股関節が曲げづらい
- 片足で靴下を履きづらい
- 長時間座った後に立ち上がるとき、足の付け根に違和感がある
これらもFAIのサインである可能性があります。
股関節インピンジメントの対処法
まずは安静とアイシング
運動中に痛みが強くなった場合は、無理をせず患部を冷やし、安静にすることが基本です。炎症が起きている場合、冷却は痛みの軽減に有効です。
専門医による診断を受ける
FAIの正確な診断には、X線やMRIなどの画像検査が必要です。整形外科医による専門的な評価に基づき、治療方針を決定します。
その違和感、見逃さないでください
股関節に「引っかかる感じ」や「詰まる痛み」がある方は、インピンジメントの可能性があります。早期に専門医による診断と対処を受けることが大切です。
治療法|保存療法から手術まで
保存療法(リハビリ・ストレッチ)
多くの場合、初期段階では運動療法や理学療法(リハビリ)が行われます。股関節周囲の筋肉(特に中臀筋や腸腰筋)を鍛えることで、関節の衝突を最小限に抑える効果があります。
代表的なエクササイズ例:
- クラムシェル
- ブリッジ
- ヒップアブダクション
薬物療法
痛みが強い場合は、**消炎鎮痛剤(NSAIDs)**が使用されることがあります。ただし、あくまで一時的な対症療法であり、根本的な改善にはリハビリとの併用が推奨されます。
関節鏡手術
保存療法で効果が不十分な場合、関節鏡を用いた低侵襲手術が検討されます。骨の形状を整えたり、損傷した関節唇を修復したりすることで、衝突を防ぎ、症状を改善します。
日常生活でできる予防とセルフケア
運動前後のストレッチを習慣に
- ヒップオープナーやハムストリングスのストレッチを行い、股関節の柔軟性を高めましょう。
長時間座る習慣を見直す
座りっぱなしの姿勢は股関節を圧迫し、インピンジメントを悪化させる原因になります。定期的に立ち上がって軽く動く習慣をつけましょう。
正しいフォームで運動を行う
誤ったフォームや動作のクセは、股関節への負担を大きくします。運動指導者や理学療法士のアドバイスを取り入れながら、安全な動作を意識しましょう。
まとめ|「軽い痛み」こそ早期対応を
股関節インピンジメントは、軽い違和感から始まり、放置することで慢性化・進行化することがある疾患です。
早期にセルフチェックを行い、違和感を感じた時点で専門医を受診することが、将来の大きな手術を防ぐ第一歩です。
日常的なストレッチや適切な運動習慣を身につけることで、FAIの予防と再発防止にもつながります。股関節の健康を守り、アクティブな生活を続けていきましょう。
違和感のある股関節、放置していませんか?
当院では股関節に特化した診療・検査・リハビリを行っています。
変形性股関節症への進行を防ぐためにも、今すぐ行動を。
✅ 専門医による診察
✅ MRI・X線による精密検査対応
✅ 再発予防を目的とした運動療法指導
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この記事の監修医師
阿部 瑞洋 医師(整形外科専門医)
一般社団法人エンジョイユアワーク 阿部整形外科クリニック院長。手術と保存療法の両方に精通し、股関節疾患の診療経験が豊富。スポーツ整形や再発予防のリハビリ指導も行っている。
※本記事は医師の監修により、正確かつ最新の情報に基づいて作成されています。
症状や治療法には個人差がありますので、必ず医療機関での受診・相談を行ってください。