本記事では、整形外科専門医が「足のつけねが痛い」症状の原因を分かりやすく解説し、受診の目安や対処法まで紹介します。

なぜ「足のつけねが痛い」と感じるのか?
足のつけねの痛みは、主に股関節・筋肉・神経・骨盤・内臓など、複数の部位が関係して起こります。
痛みの部位や動作によって原因が異なるため、まずは特徴を整理してみましょう。
1. 股関節(関節性の痛み)
立ち上がる、歩く、靴下を履くなど「足を動かすと痛い」タイプは、股関節が関係している可能性が高いです。
代表的な疾患は以下の通りです。
- 変形性股関節症:軟骨のすり減りによる炎症・変形
- 股関節インピンジメント(FAI):骨同士の衝突で炎症を起こす
- 臼蓋形成不全:生まれつき受け皿が浅く、加齢で痛みやすい
2. 筋肉(筋・腱の炎症)
足を上げたときや歩行開始時に「ピキッ」と痛む場合、腸腰筋や内転筋の炎症が疑われます。
長時間のデスクワークや運動不足で筋肉が硬くなると、股関節前面に痛みを感じやすくなります。
3. 神経(腰椎・坐骨神経)
腰椎から出る神経が圧迫されると、股関節周囲〜太もも前面・外側にかけて痛みやしびれが出ます。
特に腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症では「足のつけねの鈍痛」が初期症状になることもあります。
4. 骨盤周囲(仙腸関節)
骨盤の関節(仙腸関節)の炎症やずれが原因で、片側のつけね~お尻にかけての痛みを感じる場合があります。
5. 婦人科・泌尿器科・内臓関連
女性では子宮・卵巣、男性では前立腺などの疾患でも、股関節や足のつけねに関連痛が出ることがあります。
安静時にも痛い・発熱を伴う・夜間痛が強い場合は、整形外科と併せて内科・婦人科の受診も検討しましょう。
セルフチェック|股関節由来の痛みを見分ける3つの動作
- 靴下を履くときに痛い:股関節を深く曲げる動作で痛む→股関節トラブルの可能性
- あぐら姿勢で痛い:内側・外側にひねると痛む→関節唇や軟骨の炎症
- 歩き始めだけ痛いが歩くうちに楽になる:変形性股関節症の初期に多い特徴
これらの動作で痛みを感じる場合、股関節の関節面や周囲筋に負担がかかっているサインです。

放置するとどうなる?
痛みを我慢して生活を続けると、関節軟骨の摩耗や炎症の慢性化が進み、歩行障害につながることがあります。
「最近、靴下を履くのがつらい」「階段でズキッとする」などのサインを見逃さないことが重要です。
特に変形性股関節症は、初期に適切なリハビリ・治療を行うことで進行を抑えることができます。
逆に放置すると、軟骨の破壊が進行→関節の変形→手術リスク増加という悪循環に陥ります。
検査と治療の流れ
1. 診察・画像検査
問診・触診・関節可動域の確認を行い、レントゲンで骨の変化を確認。
必要に応じてMRIで軟骨・関節唇・筋肉の状態まで評価します。
2. 保存療法(まず行う基本治療)
- 鎮痛薬・湿布などで炎症を抑える
- 股関節周囲筋(中臀筋・腸腰筋)のストレッチ・筋トレ
- 体重管理・正しい姿勢・歩行フォーム改善
3. 再生医療(PRP・APSなど)
ヒアルロン酸注射で改善が乏しい場合は、自己血液由来の再生医療が選択肢になります。
炎症を抑え、関節内の修復を促す効果が期待され、手術を避けたい方にも適しています。
詳しくは 👉 股関節の再生医療 特設ページ
今日からできる対処法
✔ 日常動作の工夫
- 長時間の座位を避ける(30分に一度立ち上がる)
- 立ち上がる時は手をついて体重を分散
- 高すぎるヒールや重い荷物を避ける
✔ 温めとストレッチ
股関節前面(腸腰筋・内転筋)を温めて血流を改善。
寝る前に軽く足を回す「股関節まわし」もおすすめです。

まとめ|「足のつけねの痛み」は股関節からのサインかも
足のつけねの痛みは、筋肉痛だけでなく股関節の初期トラブルのこともあります。
放置せず、正確な診断と早めの治療で進行を防ぐことが大切です。
「まだ歩けるから大丈夫」と思っているうちに進むケースも多いため、
違和感を感じたら整形外科での受診をおすすめします。
「その“足のつけねの痛み”、放置していませんか?」
阿部整形外科クリニックでは、MRIによる精密診断と再生医療(PRP・APS)を組み合わせ、
“手術せずに痛みを改善する”治療を行っています。
▶ 関連ページ:股関節の再生医療 特設ページ
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境駅)
股関節・膝関節の再生医療・保存療法を専門とし、
「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践。
▶ 阿部整形外科クリニック公式サイト


