🧘‍♀️【股関節専門医が指南】股関節が痛い時に「やっていいストレッチ」と「やってはいけないNG行動」

予防

📝記事の要約と読者へのメッセージ

読者の切実な悩み:
股関節の痛みは、歩くこと、立つこと、そして何よりも「動く自由」を奪います。
「どうにか自分で治したい」とストレッチに励む方も多いでしょう。

専門医の警告:
しかし、痛みの原因を知らずに行う自己流のストレッチは、軟骨の摩耗を加速させたり、炎症を悪化させる危険性があります。

このブログの目的:
股関節専門医として、痛む時でも安全に行える「効果的なストレッチ」の具体的な方法を伝授し、同時に「絶対に避けるべきNG行動」を明確にします。
さらに、セルフケアの限界を超えた場合の「第三の選択肢(再生医療)」まで解説します。


1. 🔍股関節が痛い原因と、ストレッチがもたらす「治癒への道筋」

股関節の痛みは、単なる筋肉痛ではありません。
そのほとんどは、股関節の構造的ストレス機能不全が原因で発生します。

1-1. 股関節の痛みの2大原因

① 軟骨の摩耗(変形性股関節症)
股関節のクッションである軟骨がすり減り、骨同士がぶつかったり、軟骨片が関節内に散らばることで炎症(痛み)を引き起こします。

② 筋肉の過緊張と弱体化
特に股関節の奥にある深層外旋六筋腸腰筋といった重要な筋肉が硬くなると、関節の動きが制限され、本来の衝撃吸収機能が失われます。

1-2. ストレッチが果たす3つの重要な役割

単なる「リラックス」以上の役割がストレッチにはあります。

  1. ① 痛みの緩和(血行促進)
    筋肉をゆっくり伸ばすことで、硬くなった組織の血流が改善し、炎症物質や疲労物質が排出されやすくなります。
  2. ② 軟骨への栄養補給(ポンプ作用)
    軟骨には血管がないため、関節液から栄養を受け取ります。ストレッチで関節を動かすことで関節液が循環し、軟骨の健康を維持します。
  3. ③ 正しい動作の回復
    緊張した筋肉が緩むことで、関節の可動域が回復し、痛みを感じない「正しい歩き方」を取り戻すための土台ができます。


2. 🧘‍♂️股関節専門医が教える!痛む時でも「安全なストレッチ」3選

安全で効果的なストレッチの黄金律は、

「痛みのない範囲で、ゆっくりと、長く伸ばす」ことです。
以下の3つは、股関節専門医が推奨する、軟骨に負担をかけずに深部筋肉にアプローチできる方法です。

2-1. 【腸腰筋を緩める】仰向けで片膝抱え込みストレッチ

腸腰筋(太ももの付け根の奥にある筋肉)は、硬くなると骨盤を前に引っ張り、反り腰を引き起こします。
反り腰は股関節に強い圧迫をかけるため、この筋肉を緩めることが重要です。

効果: 反り腰の改善、股関節前面の柔軟性向上。

手順:

  1. 仰向けに寝て、両膝を立てます。
  2. 片方の膝を両手で抱え込み、ゆっくりと胸に引きつけます。
  3. 反対側の足は、膝を曲げたままか、またはゆっくりと伸ばします。(伸ばしたときに腰が反らないように注意)
  4. 太ももの付け根の奥が伸びるのを感じながら、30秒静止します。

専門家ポイント:
抱え込んだ足を少し外側に開くように動かすと、股関節のインナーマッスルにも刺激が入りやすくなります。


2-2. 【お尻の奥を緩める】座位での「数字の4」ストレッチ(梨状筋・中殿筋)

坐骨神経痛と間違われやすい、お尻の奥の痛みに特化したストレッチです。
股関節の安定性を保つ中殿筋と深部の梨状筋を緩めます。

効果: 坐骨神経の圧迫緩和、歩行時の安定性向上。

手順:

  1. 椅子に深く腰かけます。
  2. ストレッチしたい側の足首を、もう一方の膝の上に組みます。(膝と足首で「4」の字を作る)
  3. 背筋をまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくりと体を前に倒していきます。
  4. お尻の奥(主に外側)が心地よく伸びるのを感じたところで、30秒静止します。

専門家ポイント:
腰を丸めて倒すと効果が半減します。
股関節から体を折り曲げるイメージで前傾することで、ターゲットの筋肉にしっかりと負荷がかかります。


2-3. 【関節液の循環を促す】四つ這いでの股関節回し

これは、関節の可動域を広げ、軟骨に栄養を届ける「関節液の循環」を促すための動的ストレッチです。

効果: 関節の柔軟性向上、軟骨への栄養補給。

手順:

  1. 四つ這いになり、両手は肩幅、膝は股関節の真下に置きます。
  2. 片方の膝を軽く上げ、股関節で円を描くようにゆっくりと回します。(大きく回す必要はありません)
  3. 内回し、外回しをそれぞれ5回ずつ行います。

専門家ポイント:
動作中は、体が左右にグラグラしないよう、腹筋に軽く力を入れて体幹を安定させることが重要です。
これにより、股関節を支えるインナーマッスルも同時に働きます。


3. ⚠️痛みを悪化させる「やってはいけないNGストレッチと行動」

セルフケアが逆効果になるのは、主に股関節に「強いねじれ」「極端な圧迫」を加えるからです。

🚫NGストレッチと理由

NG行動 軟骨へのリスクと理由
開脚前屈で反動をつける 靭帯や筋肉が急激に引っ張られ、炎症が悪化します。特に軟骨がすり減っている場合、関節への強い剪断力がかかり危険です。
股関節を内側に思い切りねじる運動 日本人に多い「臼蓋形成不全」や軽度の変形がある場合、この動作で軟骨と骨が衝突しやすく(インピンジメント)、軟骨の損傷を加速させます。
横座りやぺたんこ座りを続ける 股関節が常に強いねじれと圧迫を同時に受けています。これは日常生活で最も避けるべき姿勢です。
「痛いけれど効いている」と思い込む 痛みは「それ以上動かすな」という体からの明確な警告です。痛みを無視すると、炎症が慢性化し、治療が長引きます。

4. ✨セルフケアの限界と「第三の選択肢」:股関節再生医療(PRP)

正しいストレッチや生活習慣を徹底しても、痛みが継続する場合、
それはセルフケアで対応できる段階を超え、軟骨の損傷や炎症が進行しているサインです。

しかし、「手術しかない」と絶望する必要はありません。

当クリニックが専門とする再生医療(PRP療法)は、
手術を避けたい患者様にとって、希望となる「第三の選択肢」です。

💉当院が注力する再生医療(PRP)の優位性

PRP療法は、患者様ご自身の血液から採取した成長因子を濃縮し、
損傷した股関節内に注入することで、組織の自己修復力を高め、炎症を鎮める治療法です。

  • 低侵襲で安全:
    注射のみの治療のため、入院は不要。体への負担が非常に少ないです。
  • 軟骨の保護:
    成長因子が炎症を抑えるだけでなく、軟骨の分解を防ぎ、その維持・再生を促す効果が期待されています。
  • 痛みの根本改善:
    単なる鎮痛ではなく、組織レベルでの修復を促すため、持続的な痛みの軽減が期待できます。
  • 専門医の技術が不可欠:
    股関節は深部にあり、PRPを正確に損傷部位に届けるのは非常に高度な技術を要します。
    当院では、高精度エコーガイドを使用し、神経や血管を避けながら、ミリ単位の精度で患部に注入することで、PRPの効果を最大限に引き出します。

PRP療法について詳しく見る
股関節の再生医療 特設ページ


5. 📞「股関節が痛い」と感じたら、まず専門医にご相談ください

自己流のストレッチや運動は、悪化のリスクと隣り合わせです。

あなたの痛みの原因が「単なる筋肉の硬さ」なのか、
それとも「軟骨の摩耗」なのかを正確に知ること。
これが、治癒への最も安全で確実な第一歩です。

股関節専門医である私たちは、最新の診断技術と、

  • ストレッチ指導
  • 再生医療(PRP)を含む保存療法
  • 必要な場合の手術治療まで

あなたの股関節の健康を生涯にわたってサポートする体制を整えています。

「股関節が痛い」という不安を、今日で終わりにしましょう。
まずはお電話、またはWebからご予約いただき、あなたの股関節の状態を一緒にチェックさせてください。

股関節の痛みでお悩みの方へ

 阿部整形外科クリニックでは、股関節専門医による診察と、ストレッチ指導・リハビリ・再生医療まで、状態に合わせた治療をご提案しています。

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この記事の監修者

阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境)
股関節・膝関節の保存療法や再生医療を専門とし、
「患者さんが自分の足で歩き続けられる医療」を目指して診療にあたる。
阿部整形外科クリニック公式サイト

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