はじめに|股関節痛が続いているあなたへ
「歩くたびに股関節が痛む」
「階段の上り下りがつらい」
「そろそろ人工股関節の手術を勧められているけれど、決断できない…」
そんな方にとって、人工股関節置換術は大きな決断です。
ですが、「手術=最後の手段」として考えるだけでなく、適切な時期に行うことで生活の質(QOL)を大きく改善できる選択肢でもあります。
このブログでは、股関節痛がある方が人工股関節手術を考える際に知っておくべきポイントと、手術適応の判断基準についてわかりやすく解説します。
人工股関節置換術とは?手術の概要と目的
どんな手術?
人工股関節手術(人工股関節全置換術:THA)は、変形や損傷した股関節の関節面を取り除き、人工の部品に置き換えることで痛みや動きの制限を改善する外科手術です。
主に以下のような構造の人工関節を使用します:
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セラミック製の骨頭と金属製の受け皿(臼蓋)
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耐久性の高いセラミックやポリエチレンのライナー
手術の目的
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痛みの除去
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股関節の可動域の回復
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歩行や日常生活動作の改善
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QOL(生活の質)の向上
手術を受けるべき?適応の判断ポイント
適応になる代表的な病気
① 変形性股関節症(末期)
軟骨がすり減り、骨同士がこすれて強い痛みが出る疾患。保存療法が効かない場合、手術適応に。
② 特発性大腿骨頭壊死症
血流障害によって骨が壊死し、崩れてしまう病気。進行すると関節の変形が起こる。
③ 関節リウマチ
自己免疫により関節に炎症が起きる疾患。股関節に進行性の変形がある場合に適応。
手術適応のチェックリスト
次のような項目が当てはまる場合、人工関節の適応を検討すべき段階に入っている可能性があります:
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股関節痛が3か月以上続いている
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薬・リハビリ・注射で改善しない
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階段や歩行が困難になってきた
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安静時でも痛みがある
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日常生活が制限されている
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画像検査で重度の変形があると診断された
これらはすべて、整形外科医が判断材料にしている指標です。
手術を検討する前に知っておきたい5つのポイント
① すぐに手術を受ける必要はない
人工関節手術は、他の保存療法(薬、注射、再生医療など)を試してからの選択肢でもあります。初期〜中期であれば、手術以外でも痛みをコントロールできることがあります。
② 人工関節にも寿命がある
一般的に人工関節の耐用年数は15〜20年程度といわれています。若年層での手術は将来「再置換術」が必要になる可能性があるため、年齢や活動性に応じた判断が必要です。
③ 入院・リハビリも想定しておく
手術後は約2〜3週間の入院と、3か月程度のリハビリが必要です。仕事や介護の調整を含め、生活の準備も大切です。
④ 手術を受ける病院・医師選びが重要
経験豊富な整形外科医のもとで手術を受けることが、術後の回復や合併症リスクの軽減につながります。口コミや手術件数、術後リハビリ体制を確認しましょう。
⑤ 不安は遠慮せず相談を
「本当に自分に必要な手術なのか?」「痛みはどれくらい改善するのか?」など、疑問や不安があれば、遠慮せずにセカンドオピニオンを受けることも大切です。
「人工股関節にするしかない」とあきらめていませんか?
変形性股関節症や大腿骨頭壊死でも、まだ手術を避けられる可能性があるかもしれません。
再生医療や保存療法を含めて、最適な治療方法をご提案します。
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手術後の生活と期待される効果
どのくらい動けるようになる?
術後3か月〜半年ほどで、次のような生活が可能になります:
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長時間の歩行
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階段の昇降
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車の運転
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軽いスポーツ(ゴルフ・水泳など)
注意点
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正座やジャンプなど高負荷動作は制限される
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感染・脱臼などの合併症リスクには注意が必要
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年に1回程度の定期受診が推奨される
まとめ|人工股関節手術は「前向きな選択肢」
人工股関節置換術は、「最終手段」ではなく、人生を取り戻すための“前向きな選択肢”です。
ただし、手術には適応・タイミング・準備が非常に重要です。
▶ 記事のポイントまとめ
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人工股関節手術は、股関節の痛みや機能障害を改善する有効な治療法
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適応疾患は変形性股関節症、骨頭壊死、リウマチなど
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手術前に保存療法や再生医療を試す選択肢もある
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寿命やリハビリ、生活調整も踏まえて慎重に判断を
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疑問や不安があれば医師にしっかり相談しよう
手術するかどうか迷ったら、まずは専門医にご相談ください。
当院では、股関節専門の整形外科医が画像診断・身体評価をもとに
あなたに最適な治療法をご提案します。手術前相談、セカンドオピニオンも対応。
✅ レントゲン完備・MRIは連携施設ですぐ撮影
✅ 人工関節の適応判断・生活設計アドバイス
✅ 手術以外の治療法の提案も可能
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この記事の監修医師
阿部 瑞洋医師(整形外科専門医・股関節外科)
一般社団法人エンジョイユアワーク 阿部整形外科院長。股関節保存療法と人工関節置換術の両分野に精通。
患者一人ひとりに合わせた治療プランの立案を得意とし、再生医療にも力を入れている。
※本記事は、整形外科専門医の監修のもと、医療情報として正確かつ最新の知見を反映しています。
治療法の選択は、医師の診察と検査をもとに判断してください。