はじめに|「おしゃれ」の代償かも?ヒールが原因の股関節痛
「ヒールを履いて出かけた日は、足の付け根がズキズキする」
「立ち仕事のあと、太ももの前あたりに重だるさを感じる」
「いつからか、長く歩くと股関節に違和感が…」
そんな声、あなたの周りでも聞いたことはありませんか?
実は近年、ハイヒールやパンプスによる“足の付け根の痛み(股関節痛)”に悩む女性が増えています。
本ブログでは、ヒールが股関節に与える影響や考えられる病気、改善のためのセルフケアや治療法についてわかりやすく解説します。
ヒールが引き起こす「足の付け根の痛み」のメカニズム
なぜヒールで“股関節”が痛くなるの?
ヒールを履くと、重心が前に傾き、つま先側に体重が集中します。その結果、膝が伸びきり、骨盤が前に傾き、股関節が常に不自然な角度で固定される状態になります。
この姿勢のまま歩いたり立ったりを繰り返すと、以下のような影響が出ます。
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股関節の前面にある腸腰筋や関節唇が圧迫される
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骨盤の歪みにより、左右の股関節にかかる負担が偏る
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太ももの前面(大腿四頭筋)ばかりを使うことで筋肉のアンバランスが生じる
これが慢性化すると、「ヒールを履くと足の付け根が痛い」という症状として現れてくるのです。
考えられる病気や異常とは?
ヒールが誘因となる主な股関節トラブル
1. 股関節インピンジメント(FAI)
股関節の骨同士がぶつかることで関節唇が擦れ、痛みや可動域制限を引き起こします。ヒール歩行により骨盤の前傾が強調されることで、股関節の前面に衝突が起きやすくなります。
2. 関節唇損傷
股関節のクッション役である「関節唇」が摩耗・断裂する状態です。ズキッと刺すような痛みや、立ち上がり時の引っかかり感が特徴です。
3. 腸腰筋の過緊張・炎症
長時間ヒールを履いていると、腸腰筋が縮こまったまま固まり、違和感や詰まり感につながります。放置すると「腸腰筋症候群」になることも。
4. 変形性股関節症(初期)
関節軟骨がすり減ることで股関節に痛みが出る疾患で、ヒールによる股関節の過負荷が進行の引き金になることもあります。
セルフチェック|痛みの原因に気づくポイント
こんな症状が出ていたら注意!
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靴下を履く、しゃがむなどの動作で足の付け根がつまる
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長時間座ってから立つと股関節に違和感がある
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片足立ちでのふらつきや股関節の痛み
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ヒールを脱いだあともしばらく痛みが続く
これらの症状が2週間以上続く場合は、整形外科への受診をおすすめします。
股関節の痛みを和らげるセルフケア&予防法
1. ヒールの使用頻度を見直す
通勤や外出時、3〜5cm程度のローヒールに切り替えるだけで、股関節への負担は大きく軽減されます。長時間立つ日や歩く予定がある日は、クッション性のあるスニーカーも◎。
2. 股関節まわりのストレッチを習慣に
腸腰筋、内転筋、ハムストリングスなどの柔軟性を高めることで、関節の詰まりを予防できます。
おすすめの簡単ストレッチ
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ランジポーズ(片膝立ち)で腸腰筋を伸ばす
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開脚前屈で内ももをほぐす
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仰向けで膝を抱えるストレッチ
3. 骨盤のゆがみを整える筋トレも効果的
中臀筋・大臀筋といった、股関節の安定性を高める筋肉を鍛えることで、ヒールによる歪みにも強くなります。
医療機関での検査と治療法
画像診断で正確な原因を特定
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レントゲン:骨構造の異常を確認
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MRI:関節唇や筋肉、靱帯の損傷の有無を調べる
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超音波検査:腸腰筋や関節周囲の炎症の有無をチェック
再生医療という新しい選択肢も
初期〜中期の股関節トラブルには、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療が有効なケースもあります。手術を避けたい方や、早期に回復を目指したい方におすすめです。
まとめ|その“つまる感じ”、早めにケアしよう
ヒールで足の付け根が痛くなるのは、単なる「履きすぎ」だけではなく、股関節の異常が進行しているサインかもしれません。
今からできること
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痛みのある日は無理せずローヒールやスニーカーで調整
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ストレッチや筋トレで関節の可動域と筋力を整える
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気になる症状があれば、早めに整形外科でチェック
日々のオシャレも、体の健康があってこそ。
「ヒールで足の付け根が痛む」という悩みは、正しい知識とケアで予防・改善が可能です。未来の自分のために、今日から身体をいたわる一歩を踏み出しましょう。
足の付け根の痛み、放置せずに専門医へご相談を
ヒールでの痛みや違和感が2週間以上続く場合は、関節の異常が進行している可能性があります。
当院では、MRIを含む詳しい検査と再生医療による治療にも対応しています。
▶ ご予約・ご相談はこちらから(ボタン)https://abe-seikei-cli.com
この記事の監修医師
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)医師
東京三鷹市 阿部整形外科クリニック 院長
日本整形外科学会認定専門医。関節治療と再生医療の第一人者として、年間1,000件以上の股関節疾患を診療。正確な診断と低侵襲な治療を心がけている。