「歩いていると足の付け根が重い」「靴下を履くのが大変になった」――このような小さな変化は、年齢を重ねると多くの方に訪れるサインです。
本ブログでは、股関節の悩みが増える理由から代表的な病気、最新の治療法、予防のコツまで、股関節専門医が詳しく解説します。

年齢とともに股関節に起こる変化
股関節は骨盤と大腿骨をつなぐ重要な関節で、歩行や立ち上がりなど日常のほとんどの動作に関わります。年齢を重ねると以下のような変化が生じます。
- 軟骨の摩耗:クッション役の軟骨がすり減り、骨同士が接触しやすくなる
- 筋力低下:股関節を安定させる筋肉(特に中殿筋・大殿筋)が弱まる
- 関節の変形:長年の負荷で骨が変形し、可動域が制限される
- 体重増加の影響:股関節には体重の3〜4倍の負担がかかるため、肥満は大きなリスク因子
代表的な股関節の病気
変形性股関節症
最も多い股関節の病気で、軟骨が摩耗し、炎症や変形を伴います。進行すると歩行困難や人工股関節手術が必要になることもあります。
大腿骨頭壊死症
大腿骨頭への血流が途絶えて骨が壊死する病気。アルコールやステロイド薬の長期使用が関係する場合もあり、比較的若い年代にも発症します。
股関節インピンジメント症候群
骨の形態異常により関節がぶつかり合う病態。スポーツ選手や若い人にも見られ、放置すると将来的に変形性股関節症につながることもあります。
初期症状を見逃さないために
次のような変化は要注意です。
- 歩幅が狭くなった
- 朝起きてすぐ股関節が硬い
- 靴下を履きにくくなった
- 長く歩くと足の付け根がだるい
- 階段や坂道で違和感が出る
これらは「年齢のせい」と思われがちですが、実は病気のサインである可能性があります。
検査と診断
整形外科では以下のような検査を行います。
レントゲン検査
骨の変形や関節の隙間の狭さを確認します。初期段階でも変化が見られることがあります。
MRI検査
軟骨や靭帯、骨内の異常まで把握できます。レントゲンで分からない初期変化も検出可能です。
身体所見
可動域の制限や歩行の状態を医師が確認し、画像所見と合わせて総合的に診断します。
股関節の悩みを解決する治療法
保存療法
薬物療法(消炎鎮痛薬)、理学療法(ストレッチや筋力トレーニング)、装具療法などが行われます。痛みを和らげ、進行を遅らせる効果が期待できます。
再生医療
PRP療法など、自己血液から抽出した成分を利用する新しい治療が注目されています。炎症を抑え、組織の修復を促す効果が期待され、手術を避けたい方に有効な選択肢です。

Doktor Kök Hücre CGF tedavisini uyguluyor.
手術療法
進行期の変形性股関節症には、人工股関節置換術が適用されます。近年は低侵襲手術や短期入院での手術も普及しており、以前より回復が早くなっています。
予防のためにできること
- 体重管理:5kgの減量で関節負担が15〜20kg軽減
- 筋力トレーニング:中殿筋や大殿筋を強化することで関節を安定
- 有酸素運動:ウォーキング・水中歩行・自転車など股関節に優しい運動
- 日常生活の工夫:正座や深いしゃがみ込みを避け、洋式トイレを使用する
患者さんの声(事例紹介)
60代女性・主婦
「歩くときに股関節がギシギシして、靴下が履きにくくなったのがきっかけで受診しました。初期の変形性股関節症と診断され、リハビリとPRP療法を行いました。今では旅行や趣味のウォーキングを楽しめるようになりました。」
50代男性・会社員
「長時間のデスクワークで立ち上がると股関節が痛みました。MRIで早期の股関節症と分かり、生活習慣の改善と筋トレを取り入れた結果、痛みが和らぎ、日常生活に支障がなくなりました。」
よくある誤解
- 「股関節の痛みは年齢のせいだから仕方ない」→ 放置すれば進行するリスク大
- 「痛くなったら手術しかない」→ 初期なら保存療法や再生医療で改善可能
- 「安静にして動かさない方が良い」→ 適度な運動は進行を防ぐカギ
まとめ
年齢とともに股関節の悩みは増えますが、早期発見と正しい対処で進行を抑えることが可能です。
「歩幅が狭い」「股関節が重い」と感じたら、ぜひ整形外科を受診してください。
阿部整形外科クリニックでは、最新の再生医療からリハビリまで幅広く対応し、患者さん一人ひとりに合った治療を提供しています。
股関節の不安、まずは専門医へご相談ください
阿部整形外科クリニックでは、保存療法から最新の再生医療まで幅広く対応しています。
些細な違和感でもお気軽にご相談ください。
監修医師
阿部 瑞洋 医師
阿部整形外科クリニック 院長
日本整形外科学会専門医/股関節外科・再生医療を専門とする。