「歩くと足の付け根が重い」「立ち上がるときに違和感がある」――そんな悩みを感じていませんか?
実は日常生活のちょっとした工夫で、股関節を守り、将来の病気を予防することができます。

なぜ股関節は年齢とともに不調が増えるのか?
股関節は骨盤と大腿骨をつなぐ関節で、歩行や立ち座り、階段の上り下りなどに欠かせません。
加齢により次のような変化が起こります。
- 軟骨の摩耗:クッションの役割を果たす軟骨がすり減り、痛みや炎症が出やすくなる
- 筋力低下:股関節を支える中殿筋や大殿筋が弱り、関節が不安定になる
- 体重増加:股関節には体重の3〜4倍の負担がかかり、数キロの増加でも大きな影響
- 姿勢や生活習慣:猫背、長時間の座位、片足重心などの癖が股関節に負担を与える
放置するとどうなる?代表的な股関節の病気
変形性股関節症
最も多い股関節の病気で、軟骨がすり減ることで炎症や変形を起こし、進行すると歩行困難や手術が必要になることもあります。
大腿骨頭壊死症
大腿骨頭への血流が途絶えて骨が壊死する病気。急激な股関節痛を伴い、進行すると人工関節が必要になります。
股関節インピンジメント
骨の形が原因で関節がぶつかり、痛みや可動域制限を起こす病気。スポーツをする若い人にも見られます。
股関節にやさしい日常生活の工夫
1. 正しい姿勢を意識する
猫背や反り腰は股関節に負担をかけます。立つときは背筋を伸ばし、座るときは骨盤を立てて深く腰掛けましょう。
2. 歩き方を見直す
小股で歩くと筋力が弱まりやすいため、股関節を意識してやや大股でリズミカルに歩くのが理想です。ただし痛みがある場合は無理をせず、自分に合った歩幅を心がけましょう。
3. 階段・椅子の使い方
階段では手すりを利用し、椅子から立ち上がる際は「足を肩幅に開き、体幹を前に倒して立つ」と股関節への負担が減ります。
4. 体重管理
股関節は体重の影響を強く受けます。例えば5kg減量すると股関節の負担は15〜20kg分も軽くなると言われています。
5. 筋力トレーニング
股関節を支える筋肉を鍛えることが予防の基本です。自宅でできる簡単な運動として:
- サイドレッグレイズ:横向きで足を上げ、ゆっくり下ろす
- ブリッジ運動:仰向けで腰を持ち上げ、数秒キープ
- 軽いスクワット:浅めに行い、膝と股関節を守る
6. 座り方・生活習慣の工夫
和式トイレや床座よりも椅子生活が望ましいです。
また、荷物は片手で持たず両手に分け、長時間の正座や深いしゃがみ込みは控えましょう。
股関節に良い食生活
- カルシウム:牛乳、チーズ、小魚
- ビタミンD:鮭、きのこ類(カルシウムの吸収を助ける)
- タンパク質:筋肉維持のため肉・魚・大豆製品をバランスよく
- 抗酸化食品:野菜・果物(炎症を抑える作用)
栄養バランスを意識することも、股関節の健康維持に役立ちます。
よくある誤解
- 「痛みが出たら安静にすればよい」→ 適度な運動の方が進行を防げる
- 「年齢のせいだから仕方ない」→ 初期なら改善・予防が可能
- 「痛みが強くなったら手術しかない」→ 再生医療や保存療法で対応できる場合も多い
患者さんの声
50代女性・主婦
「靴下が履きにくくなり受診しました。リハビリと生活習慣の見直しで、今では旅行も楽しめるようになりました。」
60代男性・会社員
「デスクワーク中心で股関節が重く感じていました。筋トレと体重管理を始めたところ、痛みが軽減し仕事も快適になりました。」
医療機関での選択肢
日常生活での工夫を続けても痛みが改善しない場合、医療機関での治療が必要です。
保存療法やリハビリに加え、近年はPRP療法といった再生医療も注目されています。
自分の血液から成分を取り出し注射する方法で、炎症を抑え修復を促す効果が期待されています。

Doktor K?k H?cre CGF tedavisini uyguluyor.
まとめ
股関節の健康は、毎日の生活習慣の積み重ねで守ることができます。
姿勢、歩き方、筋力、食事――どれもすぐに始められるものばかりです。
「最近違和感がある」と感じたら、早めに整形外科を受診し、進行を防ぐための一歩を踏み出しましょう。
股関節の不安、まずは専門医へご相談ください
阿部整形外科クリニックでは、保存療法から最新の再生医療まで幅広く対応しています。
股関節の違和感や痛みが気になる方は、お気軽にご相談ください。
監修医師
阿部 瑞洋 医師
阿部整形外科クリニック 院長
日本整形外科学会専門医/股関節外科・再生医療を専門とする。