「40代を過ぎて体重が増えてきた」「最近、股関節が重い気がする」――そんな変化を感じていませんか?
実際、体重の増加は股関節に直接負担をかけ、変形性股関節症をはじめとする病気のリスクを高めます。
本ブログでは「中年太りと股関節の関係」「体重管理でできる予防法」「栄養・運動の工夫」「最新の再生医療」まで、股関節専門医が詳しく解説します。

なぜ中年太りが股関節を壊すのか?
股関節は体重を支えるため、体重が増加するとその数倍の負担が関節にかかります。
- 平地を歩くとき:体重の約3倍の負担
- 階段を上るとき:体重の約6倍の負担
例えば、体重が5kg増えると、階段では約30kg分の余分な負荷が股関節にかかる計算です。
これが長年続けば、関節の摩耗や変形が進み、痛みや歩行障害につながります。
中年太りが引き起こす股関節トラブル
変形性股関節症
最も多い股関節の病気で、軟骨が摩耗し、炎症や変形を伴います。女性に多く、肥満は進行の大きなリスク因子です。
股関節唇損傷
体重増加によって関節の動きが不自然になり、関節唇と呼ばれるクッション部分が損傷することがあります。
大腿骨頭壊死症
直接的に肥満が原因ではないものの、血流の悪化や生活習慣病を背景に発症リスクが高まります。
セルフチェック:体重が股関節に影響していないか?
- 階段の上り下りで股関節が重い
- 歩幅が狭くなってきた
- 靴下を履くのが難しい
- 立ち上がり動作で足の付け根がズキッとする
- BMIが25以上(肥満気味)
これらに当てはまる方は、股関節の寿命を守るために体重管理を始めることをおすすめします。
体重管理で股関節の寿命を延ばす方法
食事の工夫
- 高タンパク・低脂質:筋肉を維持しつつ脂肪を減らす(魚、大豆、鶏むね肉)
- 抗炎症食品:野菜・果物・青魚で炎症を抑制
- カルシウム・ビタミンD:骨を丈夫に(牛乳、チーズ、きのこ類、鮭)
運動の工夫
股関節にやさしい運動を取り入れることで、無理なく体重管理が可能です。
- ウォーキング:1日30分を目安に
- 水中運動:浮力で股関節への負担が軽減
- サイドレッグレイズ:中殿筋を鍛えて関節を安定
- ブリッジ運動:お尻を持ち上げることで股関節周囲を強化
生活習慣の改善
- エレベーターではなく階段を活用(ただし痛みがある場合は控える)
- 長時間座りっぱなしを避ける
- 片足に重心をかける立ち方をやめる
患者さんの声
50代女性・事務職
「更年期で体重が増え、股関節が痛むようになりました。食事改善と水中運動を始めたところ、半年で5kg減り、痛みもほとんど気にならなくなりました。」
60代男性・営業職
「階段で足の付け根が痛くなり受診。中年太りが原因で変形性股関節症の初期と診断されました。体重を7kg落としたら、階段の上り下りが楽になりました。」
よくある誤解
- 「少し太っても関節に影響しない」→ 実際はわずかな体重増加でも数倍の負担になる
- 「股関節が痛いから運動しない方がいい」→ 適度な運動はむしろ関節を守る
- 「年齢のせいだから仕方ない」→ 体重管理と生活改善で予防可能
医療機関での治療選択肢
痛みが続く場合は、整形外科での検査・治療が必要です。
- 保存療法:薬物療法、リハビリ、装具
- 再生医療:PRP療法(炎症を抑え、修復を促す新しい治療)
- 手術:進行した場合には人工股関節置換術も選択肢
まとめ
中年太りは見た目だけの問題ではなく、股関節の寿命を縮める大きな要因です。
しかし、体重管理と生活習慣の工夫で股関節の健康は守れます。
違和感を感じたら早めに整形外科を受診し、将来の歩行を守る一歩を踏み出しましょう。
股関節の不安、体重管理から始めませんか?
阿部整形外科クリニックでは、保存療法から最新の再生医療まで幅広く対応しています。
中年太りや股関節の違和感でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
監修医師
阿部 瑞洋 医師
東京都三鷹市 阿部整形外科クリニック 院長
日本整形外科学会専門医/股関節外科・再生医療を専門とする。