「股関節が痛いのに、レントゲンでは異常がないと言われた」
実は、レントゲンに写らない“初期の変化”が隠れていることがあるのです。
今回は、レントゲンで異常がないのに股関節が痛いときに考えられる原因と、
MRI検査でわかること、そして再生医療を含めた治療法について、専門医が詳しく解説します。

なぜレントゲンで異常がないのに痛いのか?
レントゲンは骨の形や関節の隙間を確認する検査です。
しかし、軟骨や筋肉、腱、関節唇といった軟部組織までは映りません。
そのため、初期の段階で起こる以下のようなトラブルは、
レントゲンだけでは判断できないのです。
- 股関節唇(関節の縁)の損傷
- 軟骨のすり減り始め(初期の変形性股関節症)
- 炎症や関節液の増加
- 腸腰筋・中臀筋などの筋膜炎・腱炎
これらは、MRIで初めて見つかることが多いです。
「異常なし」と言われたあとも痛みが続く場合は、MRI検査を受けることが非常に重要です。

MRIでわかる“隠れた股関節の異常”
MRIでは、レントゲンに写らない軟骨や筋肉、関節唇の状態を立体的に確認できます。
たとえば、次のような異常が判明するケースがあります。
① 股関節唇損傷
関節のフチにある軟骨状のクッション「関節唇」が損傷している状態。
股関節を曲げたりひねったときに“詰まる感じ”“引っかかり感”が出ます。
スポーツをしていない人でも、加齢や骨の形によって起こることがあります。
② 軟骨の初期すり減り
レントゲンではまだ関節の隙間があるように見えても、
MRIでは軟骨が部分的に薄くなっていることがあります。
この段階で早めに治療を始めれば、進行を食い止めることが可能です。
③ 筋肉・腱の炎症
中臀筋・腸腰筋などの股関節を支える筋肉の炎症も、MRIで明確に分かります。
特に「座って立ち上がるときの痛み」や「歩き始めの違和感」はこのタイプが多いです。

放置するとどうなる?見逃しのリスク
レントゲンで異常がないからといって、
痛みを我慢して放置すると、次第に軟骨の損傷が進み、変形性股関節症に移行していく場合があります。
特に、
– 片側だけの痛みが3か月以上続く
– 夜寝返りで痛みが出る
– 靴下を履くのがつらくなってきた
といったサインがある方は、早めの精密検査が必要です。
早期に原因を特定し、保存療法+再生医療で炎症を抑えることで、手術を避けられるケースも少なくありません。
治療の流れ|原因に応じた3つのアプローチ
1. 炎症を抑える治療
まずは痛み止めや湿布、安静で炎症を落ち着かせます。
股関節まわりを温めて血流を良くするのも効果的です。
2. リハビリと筋肉のバランス改善
理学療法士によるストレッチ・筋トレで、股関節の動きを整えます。
特に中臀筋・腸腰筋を鍛えると、股関節の負担が軽減します。
3. 再生医療による修復サポート
PRP療法やAPS療法などの再生医療では、
自分の血液から取り出した成分で炎症を抑え、関節内の回復を促します。
「レントゲンでは異常なし」と言われた方の中でも、
MRIで炎症が確認された場合に有効です。
詳しくは 👉 股関節の再生医療 特設ページ
受診の目安
次のような方は、早めに整形外科を受診してください。
- 3週間以上、同じ場所に痛みが続く
- 片側だけ痛みや違和感がある
- 階段や靴下動作で痛みが出る
- 湿布・鎮痛薬で改善しない
痛みを「様子見」で済ませてしまうと、進行した段階で初めて画像に現れます。
“写らない段階”こそ治療のチャンスです。

まとめ|“異常なし”でも安心できない理由
股関節の痛みは、レントゲンに映らなくても“異常がない”とは限りません。
MRIで初めて見つかる早期変化を見逃さないことが、治療の分かれ道になります。
「原因が分からないまま不安」「どこで診てもらえばいいか分からない」
そんな方は、一度ご相談ください。
「レントゲンでは異常なし」と言われた痛み、諦めていませんか?
阿部整形外科クリニックでは、MRIによる精密診断と再生医療(PRP)を組み合わせ、
“原因不明の股関節痛”にも対応しています。
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境)
股関節・膝関節の再生医療・保存療法を専門とし、
「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践。
▶ 阿部整形外科クリニック公式サイト

