変形性股関節症ーやってはいけないこと

予防

「歩くたびに足のつけねが痛い」

「股関節がこわばって動かしにくい」

そんな症状がある方の多くが診断を受けるのが変形性股関節症です。
この病気では、軟骨がすり減り、関節に炎症が起こるため、
日常の何気ない動作が悪化の引き金になることもあります。

今回は、変形性股関節症でやってはいけないことを専門医がわかりやすく解説します。


はじめに|知らずにやっていませんか?股関節に悪い習慣

股関節は体重を支える大切な関節です。
軟骨がすり減った状態で無理な姿勢や動作を続けると、炎症が悪化し、痛みが増してしまいます。

「これくらい大丈夫」と思ってやっている動作が、
実は股関節にとって大きな負担になっていることも少なくありません。


やってはいけない動作5選

① 深いあぐら・正座

あぐらや正座は股関節を深く曲げ、内側にひねる動作が加わります。
この姿勢を長時間続けると、軟骨や関節唇(かんせつしん)に強い圧がかかり、炎症を悪化させます。

できるだけ椅子に座る生活を心がけましょう。

② 階段や坂道の上り下り

階段の昇降は、体重の3〜5倍の負荷が股関節にかかる動作です。
毎日無理して階段を使うよりも、できるだけエレベーターやエスカレーターを利用するのが◎です。

③ 重い荷物を持つ

買い物袋を片手で持つなど、左右のバランスが崩れると、
股関節に偏った負担がかかります。
重い荷物は両手に分けて持つか、キャリーやカートを使うようにしましょう。

④ 足を組む・片足重心

足を組む姿勢は、骨盤がねじれ、片側の股関節だけに力がかかります。
「立っているときは片足重心」も同じ理由でNG。
無意識にしている人も多いので、意識して直すことが大切です。

⑤ 無理なストレッチ

「硬いから伸ばさないと」と思って強引にストレッチするのは逆効果。
痛みを感じる範囲を超えると、関節包や筋肉を傷める危険があります。
“気持ちいい範囲で止める”ことが鉄則です。


よくある誤解:「動かしたほうがいい」は本当?

「関節は動かさないと固まるから、たくさん動かしたほうがいい」と思っていませんか?
確かに適度な運動は大切ですが、痛みが強いときに無理して動かすと逆効果です。

炎症がある状態では、まず安静にして腫れや痛みを落ち着かせましょう。
痛みがやわらいできたら、リハビリや軽い運動を始めるのが理想です。


痛みを軽くするための“やっていいこと”

① 正しい座り方・寝方を意識する

椅子に深く腰をかけ、背もたれを活用して骨盤をまっすぐに保ちます。
寝るときは仰向けまたは横向きで、脚の間にクッションを挟むと関節への負担を減らせます。

② 軽い運動で筋肉を守る

股関節の安定には中臀筋(ちゅうでんきん)などのお尻の筋肉が重要です。
おすすめの運動は「横向き足上げ(ヒップアブダクション)」や「お尻歩き」。
毎日5分でも継続することで、関節の動きがスムーズになります。

③ 体重コントロール

体重が1kg増えると、股関節には3kg以上の負担がかかります。
少しの減量でも痛みが軽くなることがあります。


再生医療という“やっていい治療”

変形性股関節症の治療には、薬やリハビリに加えて、
「再生医療」という新しい選択肢もあります。

再生医療(PRP療法など)は、自分の血液から取り出した成分を注射して、炎症を抑え、軟骨の修復を促す治療です。
手術を避けたい方や、ヒアルロン酸注射で効果が薄い方にも選ばれています。

詳しくはこちら 👉 股関節の再生医療 特設ページ


まとめ|“やってはいけないこと”を知ることが治療の第一歩

変形性股関節症は、生活の中での“ちょっとしたクセ”が悪化の原因になります。
やってはいけないことを避け、正しい習慣を積み重ねることが、痛みの軽減につながります。

「階段を避ける」「椅子に座る」「体を冷やさない」など、今日からできることから始めてみましょう。

「股関節の痛み、もしかして悪化しているかも?」と思ったら

阿部整形外科クリニックでは、変形性股関節症に対し、
MRIによる正確な診断と、リハビリ・再生医療を組み合わせた治療を行っています。

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この記事の監修者

阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境)
股関節・膝関節の再生医療や保存療法を専門とし、
「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践している。
阿部整形外科クリニック公式サイト

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