「最近、なんとなく股関節が重だるい……」
「靴下を履くときに、以前より足が上がらなくなった気がする」
「階段の最初の一歩で、少しだけ股関節がピリッとする」
そんな「ほんの少しの違和感」を、年齢のせいや運動不足のせいにして見過ごしていませんか?
こんにちは。阿部整形外科クリニックの阿部です。
実は、診察室に来られる多くの患者様が「もっと早く相談していればよかった」とおっしゃいます。股関節は、一度変形が進んでしまうと、元の形に戻すことが非常に難しいデリケートな関節だからです。
今回は、僕が診察の際、患者様や自分の家族に伝えている「見逃してはいけない股関節の初期サイン」と、その段階でできる最善の対策について詳しくお話しします。

1. あなたの股関節は大丈夫?「初期症状」セルフチェック
股関節の不調は、最初から「激痛」として現れることは稀です。まずは、日常生活の中にある以下のサインをチェックしてみてください。
【股関節のSOSチェックリスト】
- ✅ 椅子から立ち上がる時、最初の一歩に違和感がある
- ✅ 階段の上り下り、特に「下り」で足の付け根が痛む
- ✅ 爪切りがしにくくなった、または靴下を履くのが一苦労
- ✅ あぐらをかくと左右差がある、または膝が浮いてしまう
- ✅ 車の乗り降りで、足を持ち上げる時に重さを感じる
- ✅ 長時間歩いた後、股関節のあたりが「じんわり」熱い
もし1つでも当てはまるなら、それは股関節の軟骨がすり減り始めている「変形性股関節症」の入り口に立っている可能性があります。
2. なぜ「痛くない時」に相談するのが正解なのか?
患者様に「これくらいで来てもいいんですか?」と聞かれることがありますが、僕の答えはいつも同じです。
「むしろ、痛みが強くなる前に来ていただけて、本当によかったです!」
股関節治療において、早期発見・早期治療が重要な理由は2つあります。
① 軟骨が残っていれば「再生医療」の効果が最大化するから
僕が力を入れている再生医療は、患者様自身の治癒力を高め、炎症を抑え、軟骨の摩耗を遅らせる素晴らしい治療法です。しかし、再生医療は「魔法」ではありません。
「変形が軽度のうちに始める」ことが、最も高い効果を発揮する条件なのです。完全に軟骨がなくなって骨同士がぶつかり合っている状態だと、せっかくの再生医療も効果が限定的になってしまいます。
② 「手術」という選択肢を遠ざけることができるから
早めに対策を打てば、リハビリや生活習慣の改善、そして再生医療によって、将来的に人工関節の手術を避ける、あるいは大幅に先延ばしにできる可能性が高まります。僕が家族に勧めるのも、間違いなく「早めのメンテナンス」です。
3. 股関節の痛み、進行の3ステップを知っておこう
股関節の痛みには、進行度によって特徴があります。ご自身が今どこにいるか確認してみてください。
| 段階 | 主な症状 |
|---|---|
| 初期 | 動き始めの違和感。休めば痛みが消える。足の開きが悪くなる。 |
| 進行期 | 歩くと常に痛む。階段が辛い。動きが制限され、日常生活に支障が出る。 |
| 末期 | じっとしていても痛む(安静時痛)。夜、痛みで目が覚める。靴が履けない。 |
「休めば治るから大丈夫」という初期のサインを見逃さないでください。その「休めば治る」期間こそが、実は治療の黄金期なのです。
4. 僕が患者様に「~できるようになる」を約束したい理由
診察中、僕はよく「痛みがなくなったら、どんなことがしたいですか?」と質問します。
それは、痛みを取ることはあくまで通過点であり、その先にある「楽しい生活」こそが治療の本質だからです。
「またゴルフを18ホール回れるようになるといいですよね!」
「ご家族と一緒に、気兼ねなく温泉旅行へ行けるようにしましょう!」
そんな未来を、僕は患者様と一緒に描きたいと思っています。
だからこそ、初期症状の段階で来てくださる患者様には、「今のうちに手を打って、クリニックを早く卒業し、趣味を思いっきり楽しんでください!」と、自信を持って背中を押せるのです。

股関節の初期症状に関するよくあるご質問(FAQ)
Q:痛みはないのですが、違和感だけで受診してもいいですか?
A:もちろんです!むしろ痛みがないうちの受診こそが、最良の予防になります。「ちょっと変だな」という感覚こそ、専門医が大切にする情報です。
Q:レントゲンで異常なしと言われましたが、違和感が消えません。
A:初期の場合、レントゲンでは映らない微細な炎症や、筋肉・腱のトラブル、あるいはMRIでなければ分からない初期の軟骨摩耗があるかもしれません。一度、専門的な視点での再診断をお勧めします。
Q:初期なら再生医療ですぐに良くなりますか?
A:初期であればあるほど、再生医療の効果は出やすく、その後の経過も良好なケースが多いです。リハビリと組み合わせることで、より長く自分の足で歩ける土台を作ります。
心配、困ったらすぐに来てください。
「この程度で……」と我慢する必要はありません。あなたの大切なご家族も、あなたが痛みなく笑っている姿を見たいはずです。
股関節専門医の僕と一緒に、今の状態を確認することから始めましょう。

