【保存版】股関節痛の原因が“特発性大腿骨頭壊死”かもしれない?見落とされがちな病気とその兆候

原因、症状

はじめに|原因不明の股関節痛、放っておいていませんか?

「歩くと股関節が痛い…でも何が原因かわからない」
「レントゲンでは異常なし。でも痛みが取れない」
「若いのに股関節が壊れるなんてあるの?」

 これらの症状の裏に潜んでいる可能性があるのが、特発性大腿骨頭壊死(とくはつせい だいたいこっとう えししょう)という疾患です。

 この病気は、比較的若い年齢層でも起こりうるにも関わらず、初期には見つけづらく、放置すると人工関節が必要になることもあるため、早期発見が極めて重要です。

 このブログでは、特発性大腿骨頭壊死の原因や症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。


特発性大腿骨頭壊死とは?

骨に血が通わなくなることで骨が“死ぬ”病気

 特発性大腿骨頭壊死とは、股関節の大腿骨頭(太ももの骨の先端部分)への血流が何らかの理由で遮断され、骨組織が壊死してしまう疾患です。

「特発性」とは「原因がはっきりしない」という意味を持ちますが、現在ではいくつかのリスク因子が明らかになってきています。


壊死が起きる仕組み

 股関節は、体重を支える非常に重要な関節です。その中でも大腿骨頭は、血液供給が限られた非常にデリケートな部分。この部分に一時的にでも血流が途絶えると、骨が栄養を失い、壊死(細胞の死)に至ります。

 壊死が進行すると、骨がつぶれ、股関節の変形や激しい痛み、運動障害を引き起こすようになります。


特発性大腿骨頭壊死の主な原因とリスク因子

 はっきりとした原因は不明だが、関与が疑われる要素も

 特発性という名の通り、「これが原因」と断言できる要因は見つかっていませんが、以下のような要因との関連性が高いとされています。


① ステロイド薬の大量・長期使用

  • 自己免疫疾患(例:SLE)やアレルギー、喘息などの治療に使われる

  • ステロイドは脂質代謝を乱し、血流障害を引き起こす可能性


 ② 大量のアルコール摂取

  • 大量の飲酒は、脂肪の代謝を悪化させ、血管内に脂肪塞栓ができることで血流障害を引き起こすとされる

  • 特に20〜40代の男性に多く報告されている


 ③ 喫煙や高脂血症

  • 血管を傷つけやすく、血流を悪化させる生活習慣

  • 関節リスクを高める動脈硬化も一因に


 ④ 急激な減圧(潜水病など)

  • ダイバーや航空機乗員などに見られる例

  • 血中の気泡が血流を妨げ、骨への酸素供給が絶たれることがある


 ⑤ 遺伝的素因や体質

  • はっきりとは解明されていませんが、家族歴がある場合は注意が必要

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特発性大腿骨頭壊死の主な症状と進行段階

痛みの出方には個人差があり、進行するまで気づきにくい

 この疾患の厄介な点は、初期には痛みが軽く、他の疾患と区別しにくいという点です。
主な症状は以下の通りです。


初期症状(壊死が始まった段階)

  • 運動時の股関節の違和感

  • 長時間歩いた後の軽い痛み

  • 太ももや膝の痛みと誤解されるケースも


中期症状(壊死が進行)

  • 動かすと鋭い痛み

  • 歩行に支障が出る(足を引きずる)

  • 股関節の可動域が狭くなる


末期症状(骨がつぶれた状態)

  • 安静時も痛い

  • 完全な骨頭崩壊

  • 日常生活に著しい支障(階段や立ち上がりが困難)


診断と検査方法

早期診断にはMRIが有効

 レントゲンでは壊死が進行するまで異常が見つからないことが多いため、初期での診断にはMRI検査が不可欠です。

 検査の流れ

  • 整形外科での問診と触診

  • レントゲン(異常があれば進行期)

  • MRIによる早期診断

  • 必要に応じてCT・血液検査

「レントゲンでは異常なし」でも、まだ安心とは限りません。
股関節の痛みが続いている場合、MRIでしか見つけられない病気が隠れているかもしれません。

特発性大腿骨頭壊死は、早期発見が治療結果を大きく左右します。
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治療法|保存療法と手術療法の選択

進行度によって治療方針が変わる


保存療法(初期〜中期)

  • 免荷(荷重制限)+杖や装具の使用

  • 消炎鎮痛薬の内服

  • 関節の安定性を保つ筋トレ・リハビリ

  • 血流改善を期待した薬剤投与(ビタミンEなど)


手術療法(進行・末期)

① 骨切り術(初期〜中期)

  • 壊死部位を関節の非荷重面へ回すように骨を切り、再配置

  • 若年者や活動量の多い方に適応される

② 人工股関節置換術(末期)

  • 壊死が進行し、骨がつぶれてしまった場合の根本的治療

  • 長期のQOL(生活の質)改善が期待できる


まとめ|「なんとなく痛い」股関節、見逃さないで!

 特発性大腿骨頭壊死は、進行すれば手術を要することもある重大な疾患です。
しかし、早期に気づき、治療を始めれば進行を遅らせることが可能です。

▶ 記事のポイントまとめ

  • 原因不明の股関節痛の裏に、壊死が潜んでいることがある

  • ステロイドやアルコール、大量飲酒がリスク因子になる

  • 初期は痛みが軽く、レントゲンでは見つかりにくい

  • MRI検査と専門医の判断が早期発見のカギ

  • 保存療法と手術療法の適切な判断が重要

「なんとなく股関節が痛いな」と思ったとき、原因がわからないからと放置せず、整形外科での精密検査を受けることをおすすめします。

「原因がわからない股関節の痛み」、放置せずご相談ください。
当院では、MRIを活用した股関節の精密検査と、壊死リスクに対応した保存療法・手術療法の両面に対応しています。

✅ 整形外科専門医による診察
✅ MRI連携施設ですぐ撮影・画像診断も同時
✅ セカンドオピニオンも歓迎

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この記事の監修医師
阿部 瑞洋 医師(整形外科専門医・股関節外科)<
一般社団法人エンジョイユアワーク 阿部整形外科クリニック院長。地域病院および専門病院で股関節疾患を多数診療し、人工股関節置換術および保存療法の双方に豊富な実績を持つ。MRI読影にも精通。


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この記事を執筆した人

阿部 瑞洋 医師

  • 整形外科専門医
  • 股関節専門医

一般社団法人エンジョイワーク 阿部整形外科クリニック 院長。
股関節・膝関節の保存療法および再生医療に精通し、年間延べ3万人以上の患者様の診療実績を持つ。最新の医療と親身なカウンセリングで、地域医療に貢献している。

股関節の再生医療PRP療法|阿部整形外科クリニック

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