「先生、もう手術しかないんでしょうか?」
外来でよく聞く言葉です。
再生医療を希望される患者さんの多くは、“手術を避けたい”という強い願いを持っています。
そしてその背景には、恐怖・不安・そして希望が同時に存在します。
今回は、「手術だけはしたくない」という思いを持つ方へ、
再生医療という“もうひとつの選択肢”をお伝えします。
なぜ人は手術をためらうのか?
① 手術への恐怖と不安
「痛み」「麻酔」「入院」「リハビリ」──これらの言葉が頭をよぎるだけで、手術に踏み切れない人は多いものです。
さらに「仕事を休めない」「家族に迷惑をかけたくない」という現実的な理由も加わります。
② 人生の転機になるという重み
股関節の手術は人生の大きな決断。
「人工関節を入れたら、もう元の自分には戻れないのでは…」
そんな感情がブレーキをかけてしまいます。
③ まだ“歩ける今”を失いたくない
不思議なことに、手術を勧められても「今はまだ歩ける」と感じている人ほど、手術を避けたいと思う傾向があります。
それは、“現状維持への本能的な抵抗”でもあり、同時に“今を守りたい”という強い意志でもあります。
再生医療という「もうひとつの道」
再生医療は、自分の血液や細胞を使って関節の回復力を高める治療です。
手術とは異なり、体を切らずに炎症を抑え、軟骨の修復を促すことを目的としています。
PRP療法(多血小板血漿)
自分の血液から血小板を濃縮し、炎症部位に注入する治療。
炎症の抑制・痛みの軽減・組織の修復促進が期待されます。
APS療法
PRPをさらに進化させ、抗炎症成分と成長因子を高濃度に抽出した治療法。
1回の注射で長期的な効果が得られるケースもあります。
幹細胞治療
自身の脂肪や骨髄から取り出した幹細胞を培養・注入し、軟骨再生を目指す治療。
軟骨の修復能力を持つ数少ない治療法のひとつです。
費用と価値——“希望に投資する”という考え方
再生医療は自由診療のため、1回あたり20万〜40万円と高額です。
それでも、患者さんが選ぶ理由は明確です。
理由①:手術を避けたい
手術による入院・リハビリ・仕事や家事への影響を考えると、
短期間で社会復帰できる再生医療の価値は大きい。
理由②:自分の力で治したい
「自分の血液・細胞で回復を目指す」という発想は、
薬や人工物に頼らない“自然治癒への投資”です。
理由③:後悔しないための決断
「やらずに後悔するより、やってみて納得したい」
この気持ちが、再生医療を選ぶ一番の理由です。
治療の結果だけでなく、“納得感”そのものが人生の質を左右します。
実際の効果と限界を正直に伝える
再生医療の効果は、症状や進行度によって異なります。
中等度までの変形性股関節症では、約50〜60%の方に痛みの改善が見られるという報告もあります。
ただし、すべての患者に効果が出るわけではありません。
阿部整形外科クリニックでは、「正直に伝えること」を大切にしています。
「どのくらい良くなるか」を誠実に説明することで、患者さんが納得して選択できるようサポートしています。
当院の再生医療の特徴
- MRIによる正確な関節評価とエビデンスに基づく治療
- 安全性を重視したクリーンルーム環境での実施
- PRPを患者の状態に合わせて選択
- 理学療法士と連携した術後リハビリサポート
まとめ|「手術をしない」という選択を後悔しないために
再生医療は、すべての人に万能な治療ではありません。
しかし、“手術を避けたい”“今の生活を守りたい”という人にとって、
自分の力で関節を守るための最後の希望になり得ます。
そして最も大切なのは、「正確に知り、納得して選ぶこと」。
未来の自分に後悔しないために、今できる最善の選択をしてほしい——
それが、私たち医療者の願いです。
「手術をせずに関節を守る方法、知っていますか?」
阿部整形外科クリニックでは、再生医療(PRP療法)を含む保存療法で、
手術以外の選択肢を患者さんへご提案しています。
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境駅)
変形性関節症・股関節・膝関節の再生医療を専門とし、
「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践。
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