「できることなら、手術はしたくない」
股関節や膝の変形性関節症は、かつては「進行すれば手術しかない」と言われてきました。
しかし、近年では再生医療という新しい選択肢が、確実に広がっています。この記事では、再生医療がどのように「手術をしない治療」を支えているのかを、
整形外科専門医がわかりやすく解説します。

手術を避けたいという願いに応える医療
変形性股関節症が進行すると、軟骨のすり減りや骨の変形により、
「歩くのがつらい」「夜も痛くて眠れない」という状態になります。
しかし、多くの方が「人工関節は怖い」「長期入院は難しい」と感じ、
手術をためらいます。
再生医療は、そんな患者さんにとって“その間の選択肢”になります。
まだ自分の関節が残っている段階で、炎症を抑え、回復力を引き出すことで、
関節の寿命を延ばすことができるのです。
再生医療とは何か?
再生医療とは、自分自身の細胞や血液から取り出した成分を用いて、
損傷した組織の修復や再生を促す治療です。
阿部整形外科クリニックでは、主に以下の2つの方法を取り入れています。
① PRP療法(多血小板血漿注射)
患者さんの血液を採取し、血小板に含まれる成長因子を抽出して関節に注入。
炎症を抑え、軟骨や組織の修復を促進します。
効果の持続は6〜12か月と長く、早期の痛み改善に適しています。
② APS療法
PRPからさらに抗炎症成分を濃縮した治療。
関節の腫れや熱感を抑え、軟骨の保護を強化します。
変形が進行している方にも適応されるケースがあります。

「もう少し自分の関節で歩きたい」その想いを支える
再生医療の最大の目的は、
「関節を温存しながら痛みを減らす」ことです。
手術を回避するためだけでなく、
・仕事を休めない
・介護を続けたい
・趣味(ゴルフ・旅行・ウォーキング)を諦めたくない
といった生活の希望を支える治療でもあります。
再生医療は即効性のある魔法ではありません。
しかし、関節の環境を整え、「悪化を止める・遅らせる」ことで、
人生の質(QOL)を守る力を持っています。

再生医療と手術の違いを比較
| 項目 | 再生医療(PRP) | 人工関節手術 |
|---|---|---|
| 目的 | 炎症を抑えて関節の修復を促す | 損傷した関節を人工物に置き換える |
| 対象 | 初期〜中期の関節症 | 末期の変形・骨破壊 |
| 入院期間 | 不要(日帰り) | 約2〜3週間 |
| リスク | 自己血液由来で安全性が高い | 感染・脱臼などのリスク |
| 回復までの時間 | 数日〜数週 | 約3〜6か月 |
| 費用 | 自由診療(15〜25万円前後) | 保険適用(自己負担 約15万円前後) |
どちらが“正解”というわけではありません。
大切なのは、「今の自分の状態に合った治療」を選ぶことです。
再生医療の効果を高めるには
注射1本で完結する治療ではなく、
再生医療は「リハビリ・生活改善」との組み合わせで最大の効果を発揮します。
- 股関節まわりの筋力(中臀筋・腸腰筋)を維持する
- 関節を冷やさず温める習慣
- 体重コントロールで負担を減らす
当院では、理学療法士が一人ひとりの状態に合わせて、
再生医療後のリハビリプランを作成しています。

再生医療で“手術の先送り”が可能になるケースも
再生医療によって、痛みの軽減や可動域の改善が得られ、
手術時期を数年先に延ばせるケースもあります。
中には、「もう歩けないと思っていたけど、趣味の旅行に行けた」
という患者さんもいらっしゃいます。
もちろんすべての方に同じ効果があるわけではありませんが、
「何もできない」ではなく、
“できる治療がある”という希望を持つことが大切です。
まとめ|手術以外の選択肢を知ることから始めよう
再生医療は、
「手術をしないで痛みを軽くしたい」「関節を少しでも長く保ちたい」
という願いに応える治療法です。
あきらめる前に、まずは専門医に相談してください。
あなたの関節の状態に合わせた、最適な治療法がきっと見つかります。
「手術しかない」と言われた方へ。再生医療という新しい選択肢を。
阿部整形外科クリニックでは、MRI診断をもとに、
PRP療法などの再生医療を組み合わせた“関節温存治療”を行っています。
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境)
股関節・膝関節の再生医療・保存療法を専門とし、
「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践。
▶ 阿部整形外科クリニック公式サイト


