足の痛みは「成長痛」だけじゃない?
「うちの子、最近よく“足が痛い”って言うけど…」
「運動の後だけかな?」「寝てるときに足を押さえているけど大丈夫?」
子どもが足の痛みを訴えると、まず思い浮かぶのは「成長痛」や「使いすぎ」ですよね。
しかし実は、成長期に発症しやすい“病気”の可能性もあるのです。
その一つが、ペルテス病(骨端症のひとつ)です。
今回は、ペルテス病の初期症状や見逃しやすいサイン、早期受診のポイントを医師監修のもとで解説します。
ペルテス病とは?どんな病気?
5〜10歳の男の子に多い“股関節の病気”
ペルテス病は、大腿骨の骨頭(股関節の付け根の骨)に血流障害が起き、一時的に壊死してしまう病気です。
骨が壊死しても再生されますが、適切な治療を行わなければ変形が残ってしまうリスクがあります。
なぜ起きるの?原因は?
はっきりとした原因は不明ですが、成長期に起こる一過性の血流障害が主な要因とされています。
また、やせ型・低身長の男児に多く、片側性(右または左)で起こるのが特徴です。
初期症状で見逃しがちな“3つのサイン”
① 足をひきずる・びっこをひく
親が最初に気づくのが、「歩き方が変だな」「なんか足をひきずってる気がする」という動きの変化です。
これは痛みをかばっている無意識の反応であり、ペルテス病の典型的な初期サインです。
② 足の付け根・膝が痛いと訴える
ペルテス病は股関節の病気ですが、子どもは“膝が痛い”と訴えることもあります。
これは「関連痛」といって、実際の病変と違う部位に痛みを感じる現象です。
「膝が痛い」と思っていたら、実は股関節が原因だった、というケースも多くあります。
③ 動きたがらない・体育を嫌がる
「運動は好きだったのに、最近走りたがらない」「体育の授業を休みたがる」など、
活動量の低下も見逃せないサインです。子どもは言葉で表現しきれないため、
行動の変化を見逃さないことが重要です。
ペルテス病の診断と検査方法
整形外科で行う検査とは?
整形外科では、以下のような手順で診断を行います。
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問診・視診:歩き方、左右差、可動域を確認
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X線(レントゲン)検査:骨頭の壊死・変形の確認
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MRI検査:レントゲンで異常がない初期でも、骨頭壊死の早期発見が可能
初期の段階でMRIを撮ることで、確定診断が早まり、変形予防が可能になります。
どんな治療をするの?年齢と病期で変わる治療方針
① 保存療法(非手術)
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免荷(荷重を減らす):松葉杖や車いすで負担軽減
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可動域訓練:リハビリで関節の動きを保つ
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装具療法:脚の角度を調整し、骨の再生を正しい形に導く
→ 特に6歳未満の低年齢であれば、保存療法での自然治癒が期待できます。
② 手術療法(重症例)
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骨切り術:骨盤や大腿骨の角度を調整し、骨頭の位置を整える
→ 変形の進行がある中高学年の子どもや、保存療法で改善しない場合に検討されます。
家庭で気をつけたい!再発・変形を防ぐ生活習慣
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✅ 痛みを我慢させない(走らせない)
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✅ 跛行(びっこ)を見つけたらすぐ受診
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✅ 安静にしながらも関節を固めない(リハビリ指導を受ける)
まとめ|「様子を見る」は危険!足の痛み=受診のサイン
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ペルテス病は見逃されやすい成長期の股関節の病気
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症状は軽くても、早期の整形外科受診と画像検査がカギ
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適切な治療で再発や変形を防ぎ、将来のスポーツ活動や生活への影響を最小限にできます
当院では小児の股関節疾患に専門対応しています
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✅ 小児整形を専門とした診察・画像検査
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✅ 初期のレントゲン+必要に応じてMRI対応
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✅ ペルテス病の保存療法・リハビリ指導・装具紹介
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✅ 成長期の運動指導・将来の後遺症リスク評価