「最近、長く歩くと股関節がズキズキ痛む」「靴下が履きにくくなってきた」──そんな変化を感じていま せんか?
この病気は、放っておくと関節の変形が進み、最終的には歩けなくなるリスクもある疾患です。

変形性股関節症とは?
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで炎症や変形を起こし、痛みや可動域の制限が出る病気です。
初期では軽い違和感から始まり、進行すると骨の変形が強くなり、歩行や立ち上がりが難しくなります。
主な原因
- 臼蓋形成不全(股関節の受け皿が浅い先天的な状態)
- 加齢による軟骨の摩耗
- 体重増加や長年の関節への負担
- 股関節インピンジメントなど構造的異常
特に日本人女性は臼蓋形成不全の割合が高く、40〜60代以降で症状が現れやすい傾向にあります。
放置するとどうなる?進行段階のサイン
🩵 初期(軽度)
- 歩き始めや立ち上がりで足の付け根が痛む
- 長時間の歩行や階段で疲れやすい
- 靴下を履きにくくなる
この段階では、軟骨のすり減りが始まっており、炎症が軽度。
リハビリや再生医療などの保存療法で改善が期待できます。
💛 中期(中等度)
- 歩くたびに痛みが出る
- 夜間や安静時にも鈍痛がある
- 股関節の可動域が狭くなる
この時期は、軟骨がかなり減っており、骨同士が接触して炎症を繰り返しています。
放置すると関節が固まって歩行困難になるリスクがあります。
❤️ 末期(重度)
- 少し歩くだけで痛みが強い
- 足の長さが左右で違って見える
- 杖や手すりがないと歩けない
ここまで進行すると、軟骨がほとんど消失し、人工股関節置換術の適応となるケースもあります。
ただし、早期の治療介入で手術を避けられるケースも多くあります。
早期治療でできること
① 保存療法
初期〜中期では、次のような保存療法が中心になります。
- 鎮痛薬や湿布による痛みの緩和
- 理学療法士による筋力トレーニング(中臀筋・腸腰筋)
- 体重管理と姿勢改善
これらは症状の進行を抑えるだけでなく、再生医療との併用効果も期待できます。
② 再生医療(PRP療法)
近年注目されている治療法が、自己修復力を活かす再生医療です。
自分の血液や幹細胞を使って炎症を抑え、損傷した軟骨の修復を促すことを目的としています。
特に初期〜中期の段階で行うことで、関節の機能改善・痛みの軽減が期待されます。
③ 手術療法(最終手段)
保存療法でも改善しない場合は、人工股関節置換術が選択されることもあります。
ただし、すべての人が手術を必要とするわけではありません。
MRIやレントゲンで正確に評価し、最適な時期を見極めることが大切です。
日常生活でできる予防とケア
- 階段の上り下りを無理に行わない(手すり活用)
- 股関節を冷やさず、温めて血流を良くする
- 座る時間が長いときは30分に一度立ち上がる
- 股関節ストレッチ(お尻歩き・股関節まわし)を習慣にする
放置せずに早めの受診を
変形性股関節症は、痛みが軽いうちに治療を始めるほど改善しやすい病気です。
「もう少し様子を見よう」と先延ばしにすると、関節の変形が進行し、治療の選択肢が限られてしまいます。
「歩くときの股関節の痛み、放置していませんか?」
阿部整形外科クリニックでは、再生医療(PRP・APS・幹細胞治療)を含む
最新の保存療法で、関節をできるだけ長く守る治療を行っています。
まとめ|“まだ大丈夫”と思っている今が、治療のチャンス
変形性股関節症は、痛みが出始めた時点で進行が始まっています。
「歩けなくなる前に、今できる治療を始める」ことが何より大切です。
早期発見と早期治療で、手術を避けて健康な股関節を保ちましょう。
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境駅)
股関節・膝関節の再生医療を専門とし、「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践。
▶ 阿部整形外科クリニック公式サイト