「足の付け根が痛い」「長く歩くとだるい」――
このブログでは、股関節の痛みに関係する代表的な筋肉と、そのメカニズム、改善のポイントを整形外科専門医がやさしく解説します。

なぜ「筋肉」が股関節の痛みに関係するの?
股関節は、太ももの骨(大腿骨)と骨盤をつなぐ人体最大の関節です。
その周囲には多くの筋肉があり、立つ・歩く・しゃがむなど、あらゆる動作を支えています。
ところが、姿勢の崩れや運動不足、長時間の座り姿勢などで筋肉が硬くなると、
筋肉が股関節を引っ張り、関節に余計な負担をかけるようになります。
これが「関節そのものは悪くないのに痛い」という状態の正体です。
股関節の痛みに関係する代表的な筋肉
① 中臀筋(ちゅうでんきん)|“お尻の外側”の安定筋
中臀筋は、骨盤の外側にあり、片足で立つときに体を支える筋肉です。
ここが弱ったり硬くなったりすると、歩くたびに骨盤が左右に揺れて、股関節にストレスがかかります。
この筋肉が原因の場合、「立ち上がるときの痛み」「歩き出しの違和感」が出やすいのが特徴です。

② 腸腰筋(ちょうようきん)|“足を持ち上げる筋肉”
腸腰筋は、背骨から太ももの骨につながる深部の筋肉です。
長時間座っている人や猫背の人は、この筋肉が縮んだまま固まりやすく、
足の付け根の前側の痛みや、股関節の「詰まり感」を引き起こします。
「デスクワーク中に股関節が重だるい」「階段を上るときにつまる感じがする」
――そんなときは腸腰筋が関係している可能性があります。
③ 大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)・外側広筋(がいそくこうきん)
太ももの外側にある筋肉で、膝や骨盤の動きをサポートしています。
ここが硬くなると、歩くたびに股関節の外側が突っ張ったり、
「太ももの外側〜膝の外側」の痛みが出ることがあります。
「膝が痛いと思っていたら、実は股関節からの影響だった」というケースも珍しくありません。
④ 梨状筋(りじょうきん)|“お尻の奥”の深層筋
梨状筋は、股関節を外にひねるときに働く筋肉です。
この筋肉がこわばると、近くを通る坐骨神経を圧迫し、
お尻〜太もも裏にかけて痛みやしびれを感じる「梨状筋症候群」を起こすこともあります。

筋肉が原因の股関節痛を見分けるポイント
- 動かしたときに痛むが、安静にすると軽くなる
- 押すと痛い部分がある(筋肉や腱のライン)
- 関節を回す動きでは痛くないが、姿勢によって違和感が出る
このような特徴がある場合、関節ではなく筋肉や筋膜のこわばりが主な原因であることが多いです。
改善のためにできること
① 温めて血流をよくする
筋肉の硬さは血流不足が関係しています。
痛みが強くないときは、入浴やホットパックなどで温めることで、こわばりを和らげましょう。
② やさしいストレッチ・運動療法
無理に伸ばすよりも、呼吸を合わせて「気持ちいい」と感じる範囲で行うのがポイント。
おすすめは以下のような軽い運動です。
- 横向き足上げ(中臀筋トレーニング)
- もも上げ(腸腰筋を動かす)
- お尻歩き(骨盤の安定)

③ 長時間同じ姿勢を避ける
座りっぱなし・立ちっぱなしは血流を悪くします。
1時間に一度は軽く立ち上がる、体をひねるなど、こまめに体を動かすことが大切です。
股関節の痛みが続くときは、関節疾患の可能性も
筋肉をほぐしても痛みが続く場合は、変形性股関節症や臼蓋形成不全など、関節そのものに原因があるケースもあります。
その場合、放置すると炎症が進み、膝や腰にも負担が広がることもあります。
MRIなどで正確に原因を調べ、筋肉由来か関節由来かを見極めることが重要です。
最近では、炎症や軟骨のダメージを抑える目的でPRP療法などの再生医療を選ぶ方も増えています。
手術を避けたい方にも有効な選択肢の一つです。
詳しくはこちら 👉 股関節の再生医療 特設ページ
まとめ|“筋肉のケア”が股関節を守る第一歩
股関節の痛みは、関節だけでなく筋肉の硬さや弱さが関係していることが多いです。
ストレッチや温めで筋肉をゆるめること、正しい姿勢を保つことが、痛みの改善につながります。
「筋肉だと思っていたけど、実は関節だった」というケースもあるため、
痛みが長引く場合は整形外科での診察をおすすめします。

「股関節の痛み、筋肉が原因かも?」と思ったら
阿部整形外科クリニックでは、MRIによる正確な診断と、リハビリ・再生医療を組み合わせた治療を行っています。
股関節まわりの筋肉の痛みも、お気軽にご相談ください。
この記事の監修者
阿部 瑞洋(あべ みずひろ)
整形外科専門医/阿部整形外科クリニック 院長(東京都三鷹市・武蔵境)
股関節・膝関節の保存療法や再生医療を専門とし、
「患者さんが納得できる医療」を目指して診療にあたる。
▶ 阿部整形外科クリニック公式サイト

