「最近、階段の上り下りで足が上がりにくい気がする」
「昔より身体が硬くなったけれど、これはただの老化だろう……」
そんなふうに、自分の身体の変化を「年齢のせい」にして見過ごしていませんか?
こんにちは。阿部整形外科クリニック院長の阿部です。
股関節は、あなたの体重を一生支え続ける「人生の土台」です。しかし、その土台がどれくらい摩耗し、あと何年元気に動いてくれるのかを知っている方はほとんどいません。車の車検と同じように、人間の股関節にも定期的なチェックが必要です。
僕は今、不慮の事故で左足を骨折し、リハビリ生活を送っています。自由自在に動けた毎日のありがたみを、今これほどまでに痛感している医師は他にいないでしょう。だからこそ、皆さんには「動けなくなる前」に気づいてほしいのです。
今回は、僕が診察室で行っている評価をベースにした、「股関節寿命を判定する3つのセルフテスト」を、詳しく解説します!

1. 【チェック①】あぐら・靴下履きテスト(柔軟性の寿命)
まずは、関節の「形」がどれくらい保たれているかを確認しましょう。椅子に座った状態で、片方の足をもう片方の膝の上に乗せて「あぐら」のような姿勢をとってみてください。
- 合格: 膝が床とほぼ水平まで下がり、痛みがない。
- 注意: 膝が高く浮いてしまう、または股関節の付け根に詰まったような痛みがある。
このテストで膝が下がらないのは、単に「身体が硬い」からではありません。股関節の軟骨がすり減り、関節の袋(関節包)が分厚く硬くなっている、あるいは骨の変形によって物理的に「衝突」が起きているサインです。これができない方は、将来的に「爪が切れない」「靴下が履けない」といった日常生活の困難に直面するリスクが非常に高いと言えます。
2. 【チェック②】30秒・片足立ちテスト(支える力の寿命)
次に、股関節を支える「筋肉」の寿命を確認します。何かに捕まらずに、片足で真っ直ぐ立ってみてください。
- 合格: フラつかずに30秒以上キープできる。
- 危険: 10秒持たない、または上半身が左右に大きく揺れる。
股関節を安定させる「中殿筋(ちゅうでんきん)」という筋肉が弱っていると、歩くたびに関節に異常な衝撃がかかります。この筋力が低下した状態で放置すると、どれだけ優れた治療を行っても、関節の破壊を止めることはできません。「フラつく=関節が削られている」と考えてください。

3. 【チェック③】椅子からの立ち上がりテスト(瞬発力の寿命)
最後は、日常生活で最も負担がかかる「立ち上がり」の動作です。少し低めの椅子から、手を使わずにスッと立ち上がれますか?
- 危険: 「よっこいしょ」と声が出る、膝に手をつかないと立ち上がれない、立ち上がった直後に一歩が出ない。
これは股関節のクッション機能が低下し、骨同士が直接ぶつかっている際の「始動時痛」のサインかもしれません。立ち上がる瞬間の激痛を放置すると、やがて「歩くこと自体が恐怖」になり、一気に筋力が衰える廃用症候群へと進んでしまいます。

「寿命」が短いと分かった方へ。諦めるのはまだ早いです
「ご家族も、あなたがいつまでも自分の足で颯爽と歩き、一緒に買い物や旅行を楽しめることを心から願っています」
「~できるようになるといいですよね!」
もしテストの結果が悪かったとしても、絶望する必要はありません。今の自分の状態を知ることこそが、最善の治療のスタート地点です。当院では、弱った筋肉を呼び覚ます専門的なリハビリや、関節環境を整える再生医療(PRP療法など)を組み合わせ、股関節の寿命を「巻き戻す」ためのアプローチを行っています。
僕自身、今この瞬間もリハビリで一歩ずつ前進しています。痛みや不自由さを知る僕だからこそ、あなたの「もう一度自由に歩きたい」という願いに、誰よりも深く寄り添えると確信しています。

股関節チェックに関するQ&A
Q:セルフチェックで痛みがありましたが、様子を見てもいいですか?
A:痛みがあるということは、すでに炎症が起きている証拠です。放置すると「変形の連鎖」が始まります。早めに専門医のレントゲンやエコー検査を受け、正確なステージを確認することをお勧めします。
Q:昔から身体が硬いのですが、それでも寿命に関係しますか?
A:もともとの体質もありますが、急に「以前より硬くなった」と感じる場合は要注意です。加齢による硬さと、病気による「拘縮(こうしゅく)」は別物ですので、プロの目による診断が必要です。
Q:再生医療を受けると、セルフチェックの結果は改善しますか?
A:はい。再生医療で関節内の炎症が治まり、リハビリで正しく筋肉が使えるようになれば、可動域が広がり、片足立ちの時間も伸びるケースが多々あります。寿命はあなたの努力と適切な治療で延ばせるのです。
「10年後のあなたも、今と同じように歩けていますか?」
股関節の寿命は、今この瞬間のあなたの選択にかかっています。
整形外科専門医として、そして今まさにリハビリに励む同志として、あなたの100年歩ける身体を全力でサポートします。


