目次
足首には、体を支える脚と地面に接する足を繋ぐ重要な働きをする「足関節(そくかんせつ)」があります。足関節とは足首にある関節の総称で、遠位脛腓関節(えんいけいひかんせつ)、距腿関節(きょたいかんせつ)、距骨下関節(きょこつかかんせつ)の3つの関節からなる複合関節です。
足関節が正常に機能することで、「立つ」「歩く」「ジャンプする」など基本的動作を不自由なく行えるのです。
(図)足関節の構成
当院では、足・足首の痛みに対して問診・視診・触診のほか、超音波検査(エコー)による画像検査で診断しています。
超音波検査は、レントゲン検査では見つけられないような筋肉や靭帯・腱などの微細な損傷を見極めることが可能であり、患者さんも一緒に病変部位を見ながら確認できます。さらに、検査は痛み無く受けられ被爆の心配もありません。
足、足首は骨の数が多く、また体重がかかる部分でもあるため、骨と骨とつなぐ靭帯がたくさんあります。靭帯はレントゲンには映らないため、超音波検査で損傷の有無を確認し、また血流の状態を観察することにより靭帯の治り具合を観察することができます。
靭帯の治り具合を判断することにより、適切なスポーツ復帰時期を提案することもできます。
なお、必要に応じてX線検査(レントゲン)、MRI検査、CT検査なども行います。
足・足首に痛み・腫れがある、足首を動かしづらいなど足に異常を感じる場合にはお早めに当院までご相談ください。
足関節捻挫(そくかんせつねんざ)
足関節捻挫は、足首を捻ることが原因で起こる軟部組織(骨以外の靭帯・関節包など)の損傷です。足首を内側に捻ることがほとんどで、足関節捻挫はスポーツ中の怪我で一番多く、日常生活でも階段の踏み外しや転倒などによって起こりやすい怪我です。また、捻挫の際に靭帯(前距腓靱帯:ぜんきょひじんたい)も損傷していることが多いため、足関節捻挫は「足関節外側靭帯損傷」と呼ばれることもあります。
(画像引用)足関節の構造|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/sprain_of_ankle.html
足関節捻挫では、外くるぶし前や下の痛み・腫れ・圧痛(押すと痛み)の症状がみられます。
受傷原因と自覚症状から診断可能ですが、骨折の有無を確認するために超音波検査やX線検査を行います。靭帯損傷が高度な場合には、ストレス撮影*1を行います。
*1ストレス撮影:手や器具で圧力をかけて、あえて骨のズレを生じさせてX線撮影し、靭帯損傷具合を評価する方法
靭帯の損傷具合で定義される捻挫レベルによって、治療法は異なります。靭帯が伸びる程度の損傷(1度)と一部の靭帯が切れている状態(2度)では、受傷直後から3~4日間は「RICE処置」を行います。
RICE処置は応急処置の基本であり、患部の安静(Rest)・氷による冷却(Icing)・弾性包帯やテーピングでの圧迫(Compression)・患部の挙上*2(Elevation)を行い、患部の出血・腫れ・痛みを防いで損傷部位の障害を最小限に留めます。
*2拳上(きょじょう):持ち上げること
(画像引用)スポーツ障害の応急処置|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/athletic_injury.html
靭帯が完全に切れている状態(3度)では、RICE処置後さらに2~3週間のギプス固定を行うことがあります。ただし、足関節の不安定感が強い場合には、外科的手術となることもあります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
足関節果部骨折(脱臼骨折)
足関節果部(そくかんせつかぶ)とは、いわゆる「くるぶしの骨」のことです。脛骨の足関節側の端に「内果(ないか:内くるぶし)」・「後果(こうか:後ろくるぶし)」があり、腓骨の足関節側の端に「外果(がいか:外くるぶし)」があります。
(図)足関節果部
足関節果部骨折は、足の骨折の中で最も頻度の高い骨折であり、くるぶしの骨に割れ目が入る「関節内骨折」です。
足関節果部骨折の原因は、階段・高いところからの転落や踏み間違えなどで、足を内側や外側にひねり体重をかけることで起こります。外力のかかる方向によって、骨折以外に脱臼*3(脱臼骨折)や靭帯損傷も併発することも多い怪我です。
*3脱臼:関節の骨の位置が完全にずれること。一部がずれることは亜脱臼(あだっきゅう)と呼ぶ。
足関節果部骨折が起こると、足関節部の痛みや腫れ、皮下出血、外側・内側へ曲がる(外反変形・内反変形)などの症状がみられ、足をついて歩くことは難しくなります。重度の骨折では骨が皮膚の外に出てしまったり(開放性骨折)、腫れが強い場合には血液の流れが悪くなり組織が死んでしまったり(阻血性壊死:そけつせいえし)することもあるので、注意が必要です。
受傷理由や自覚症状などの問診・触診・視診、超音波検査、レントゲン検査などから診断します。骨が粉砕している場合(粉砕骨折)、3D-CT検査が必要となることがあります。
足関節は体重を支える関節(荷重関節)なので、関節の不安定性や骨のズレが少しでもみられる場合、ネジやボルトによる固定手術が必要となります。足関節面を骨折前の状態にまで戻さないと、関節の動きが悪くなったり、痛みが残ったりする「変形性関節症」に移行する可能性があるので要注意です。
なお、靭帯が切れておらず骨折によるズレも少なく、徒手整復で正しい位置に戻り保持できるときには、手術をせずにギプス固定・シーネ固定などで安静を図る保存治療が可能です。その後は運動療法などリハビリテーションを行い、足を動かすようにします。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
アキレス腱断裂
アキレス腱断裂とは、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を繋ぐアキレス腱が切れることです。普段運動をしていない人が急にスポーツをしたり、お子さんの運動会で走ったりするなどレクリエーション中に起こりやすく、30~50代の方に多くみられる怪我です。
アキレス腱を断裂した瞬間、後ろから蹴られたりボールが当たったりしたように感じ、「ブチッ」といった破裂音・断裂音を自覚することもあります。また、受傷直後は体重をかけられず転倒することもありますが、しばらくすると歩けるようになることもあります。ただし、歩けたとしてもつま先立ちはできない特徴があります。
断裂する原因は、踏み込み・ダッシュ・ジャンプ・ターンなどの動作による、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)の急な収縮・伸展です。受傷背景には、加齢に伴うアキレス腱の変性があると考えられています。
アキレス腱断裂の診断は、受傷原因や患部の圧痛などに対する問診・触診のほか、足関節の底屈を確認するテスト(Thompsonテスト)や超音波検査で腱の状態を詳しく調べ、評価します。アキレス腱断裂では、アキレス腱のある足首の裏部分に陥没(へこみ)がみられます。
(画像引用)アキレス腱断裂|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/achilles_tendon_rupture.html
アキレス腱断裂の治療には、ギプス固定などの保存的治療と断裂したアキレス腱を縫合する手術があります。これまでの保存的治療では、通院だけで治療できるメリットがある一方で、長期間の固定による筋力・可動域回復の悪さや再断裂率が高いという面もみられました。しかし、近年は早期からリハビリテーションを開始することで、保存的治療でも良好な治療実績が報告されています。どちらも長所短所があるため、患者さんのスポーツ活動レベル・日常活動レベル・既往症・希望など考慮して選択します。なお、全力でのスポーツ復帰の目安は約5~6か月後となります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
肉離れ(にくばなれ)
肉離れは、スポーツ活動中などにふくらはぎ・太ももの筋肉が部分断裂することです。筋肉を包んでいる膜(筋膜)が剥がれたり、切れたりする場合もあります。
肉離れが起こると、激しい痛み・腫れが現れ、痛くて普通に歩くのが困難になります。また受傷時は、急に力が抜ける、断裂音が聞こえる、断裂部分が凹む、などの症状がみられることがあります。
肉離れしやすい部位は、太ももの後ろの筋肉(ハムストリングス)・太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)・ふくらはぎ(腓腹筋:ひふくきん)の順であり、成長期や若い方は太ももの肉離れ、中高年ではふくらはぎの肉離れが多い傾向です。
肉離れの原因は、強い負荷に筋肉が耐えられなくなることです。急な踏み込み・ダッシュ・ジャンプなどの動作をする陸上・テニス・バドミントン・バスケットボールのプレイ中によくみられ、サッカーでは太ももの内側(内転筋)に起こることもあります。しかし、筋肉が疲れているときや加齢によって筋肉が硬くなっている中高年の方は、日常生活内の動作でも肉離れになることがあります。
肉離れを予防するために運動の前の準備運動はもちろん、日頃からストレッチをして筋肉を柔らかくしておきましょう。
受傷状況や、太もも・ふくらはぎの筋肉への圧痛などの症状がみられることで診断可能ですが、他の疾患と鑑別するためにも超音波検査で詳しく確認します。損傷がひどい場合にはMRI検査が必要なこともあります。
肉離れが起こった際には、まずは応急処置(RICE処置:安静・冷却・圧迫・挙上)を行い、損傷を最小限に留めるようにしましょう。なお、肉離れの重症度が分かる方法として、ストレッチをしたときの痛みで分類する方法があります。
(画像引用)肉離れの重症度|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/pulled_muscle.html
軽症・中等症の肉離れでは、固定と安静による保存的治療を行います。痛みが無くなってきたら、柔軟性や筋力の回復・再発防止のため、無理のない範囲で運動療法やマッサージ・ストレッチなどのリハビリテーションも並行して行っていきます。
筋肉や腱が完全に断裂しているような重症の場合には、外科的手術が必要となることがあります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
扁平足(へんぺいそく)
足には、人間だけにある縦(内側・外側)・横の3本からなる「アーチ構造」があります。足のアーチ構造には、体のバランスを取る、血管や神経の保護をする、地面からの衝撃を吸収する、といった役割があります。
(図)足のアーチ構造
中でも内側縦アーチは「土踏まず」*4とも呼ばれ、この土踏まずのアーチが潰れ、足の裏が平になってしまう状態が「扁平足」です。立った状態で足の裏の内側(土踏まず)にボールペンや指などが入らなければ、扁平足の可能性があります。
*4土踏まず:足裏の中央部分の内側にある、くぼんで立った時に床に接しない部分。
扁平足自体は病気とは言えませんが、足の衝撃吸収能力が低下するので、足関節だけでなく膝関節・股関節・腰などにも負担が増します。その結果として足が疲れやすい、足の裏や甲が痛くなるといった症状が現れたり、進行すると外反母趾(がいはんぼし)など足の変形、歩行時の違和感が現れたりすることがあります。
扁平足は問診や「かかとが外側に向いているか?」「立つと足のアーチが低下するか?」など触診・視診を行い、レントゲンで重症度を確認して診断します。
主な治療法は、アーチ構造をサポートするインソール(靴の中敷き)、足首・足の指の筋肉を鍛える運動などの保存的治療で、痛みが強い場合には消炎鎮痛剤の外用薬を処方します。重症になると、手術となる場合もあります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
(図)インソールによる扁平足の治療
成人期扁平足
大人の扁平足には2つのタイプがあります。
大人の約5人に1人(15~20%)は、子どもの頃から扁平足の方です。足が疲れやすかったり、激しい運動をしたときや長時間歩いていると足が痛くなったりする不快症状が時折みられますが、基本的には問題ありません。
一方で、問題となるのが中年以降に発症した「成人期扁平足」です。成人期扁平足は女性や肥満体型の方に多く、内くるぶしの下に腫れ・痛みが現れます。初期では扁平足は目立ちませんが、進行するとアーチがなくなり、足が硬くなって歩くのが困難になることもあります。
成人期扁平足の主な原因は「後脛骨筋腱機能不全(こうけいこつきんけんきのうふぜん)」です。縦アーチを吊り上げる役目をしている後脛骨筋腱(ふくらはぎの筋肉)が、加齢による変性や体重の負荷により断裂することで発症します。
成人期扁平足が疑われる場合には、X線検査では腱の損傷状態が確認できないため、超音波検査やMRI検査を行います。
保存治療を中心に行い、重症の場合には腱移行手術などを行うことがあります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
幼児期扁平足
乳幼児は筋力が弱く脂肪も多いため、誰でもみんな扁平足です。成長と共に自然に足のアーチが整ってくるため、あまり心配はありませんが、足の痛みや変形が強い場合には積極的な治療が必要となります。
お子さんの扁平足の原因で多いのは、「外反扁平足(がいはんへんぺいそく)」です。関節周りの靭帯が緩み、かかとが外を向くため、アーチが潰れてしまい扁平足を発症します。
なお、お子さんの場合、扁平足に見えても座っているときには縦アーチは保たれていることが多いので、足の痛みや疲れがみられることもありますが、アーチをサポートするようなインソールだけでも改善が期待できます。
ただし、体重をかけなくても(座っていても)縦アーチが潰れてしまっている扁平足には、土踏まずが出っ張る「先天性垂直距骨(せんてんせいすいちょくきょこつ)」や、足の甲からかかとにある足根骨がくっついて繋がる「先天性足根骨癒合症(せんてんせいそっこんこつゆごうしょう)」などの病気が原因となっている可能性があります。場合により手術を検討することがあります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
内反足(ないはんそく)
内反足は、生まれつき足の裏が内側に反って変形している疾患で、日本では約1,000人に1人、男女比は2:1の割合で発生します。両足に起こることが多く、片足の場合には右足に現れる傾向があります。そのままにしておくと普通に歩くのが困難となり、変形が高度になると足の甲で歩くようになるため、できるだけ生後早期の治療開始が望まれます。
(画像引用)内反足|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/clubfoot.html
内反足の原因ははっきり分かっておらず、多くは原因不明の特発性ですが、多発性関節拘縮症(たはつせいかんせつこうしゅくしょう)*5など全身の疾患の症状の一つとして発症するケースもあります。
*5多発性関節拘縮症:生まれつき2か所以上、関節が動かしづらく、筋肉の萎縮や脱臼を伴う病気
内反足は、足の変形具合などの視診・触診を行い、X線検査で骨の位置などを確認して診断します。
内反足の治療は、世界標準の治療法である「Ponseti(ポンセッティ)法」を行います。最初に医師による徒手矯正を行い、約2~3か月間専用ギプスを装着します。足関節(足首)より下の矯正が順調に行われていても、足先を上向きにすることができない場合には、局部麻酔による「アキレス腱切除手術」を行うことがあります。その後は骨の成長が終了するまで、装具療法にて矯正位を保持するようにします。最初約4か月間は1日23時間、その後も4~5歳になるまで寝る時だけに装着します。幼児期・学童期以降に変形の再発がみられるときには、追加で手術を行うこともあります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
後脛骨筋症候群(こうけいこつきんしょうこうぐん)
後脛骨筋とはふくらはぎ~内くるぶしの後ろ~土踏まずを通っている腱で、立っているときに足や体を支えたり、着地したときの衝撃を和らげたりする働きをしています。
(図)後脛骨筋
後脛骨筋症候群とは、後脛骨筋への過剰な負荷による炎症が原因となり、スポーツ活動中に足首の内側の内くるぶし下辺りに痛み・腫れがみられる疾患です。進行すると、歩くだけでも痛むようになり、歩行が難しくなります。主に陸上やバスケットボール、ジョギングなど運動をしている方や長時間の立ち仕事をされている方に発症しやすい疾患です。
また筋力低下や腱の劣化により、中年以降の女性にも発症が多く見られます。
発症の要因には、扁平足などの足の形、足首周りの筋肉の柔軟性の低下、筋力不足のほか、シューズや硬い路面など環境要因もあります。
後脛骨筋症候群の診断は、自覚症状などの問診・視診・触診から判断可能ですが、筋腱の損傷具合を確認するため、超音波検査やMRI検査を行うこともあります。
治療の基本は患部の安静です。痛みや腫れが強いときには、スポーツ活動の一時休止・制限、アイシングや温熱療法などの保存的治療を中心に行います。併せて、足の負担を助けるインソールやテーピングの使用、ストレッチ・マッサージなどリハビリテーションも行います。
痛風(つうふう)
痛風は、尿酸*6が関節の中で固まり結晶化することで起こる関節炎で、30~50代の男性に多い病気です。
*6尿酸:ビールやレバーなどに多く含まれる「プリン体」がエネルギー代謝によって変化した老廃物
痛風の主な症状は、関節の腫れや赤みと激しい痛みで、痛みは数日間続いたのち落ち着きます。痛風発作がみられる少し前には、ムズムズする違和感を伴っていることがあります。
また、関節炎が現れる場所は足の親指の付け根が有名ですが、足関節・足の甲・アキレス腱のつけ根・膝関節・手関節に現れることもあります。時には耳に痛風結節ができたり、尿路結石ができたりすることもあります。
(画像引用)痛風による症状がみられる部位|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/gout.html
痛風の原因は、血液中の尿酸の濃度が高くなった状態が続く「高尿酸血症」です。高尿酸血症の発症要因は様々で、暴飲暴食・肥満・運動不足・腎機能低下・降圧利尿薬などがあります。なお、痛風になる方は高尿酸血症以外にも、高脂血症・高血圧症・耐糖能異常などの生活習慣病を合併していることが多い傾向です。
痛風は特徴的な症状がみられるため、自覚症状などの問診・視診・触診などから診断可能ですが、似たような疾患と鑑別するために血液検査を行います。発作中に関節の中に尿酸の結晶が確認できるか、関節の中から水を抜いて調べる関節穿刺(かんせつせんし)で確定診断を行うこともあります。
痛風の治療は、関節炎の治療だけでなく、原因となっている高尿酸血症の治療も行う必要があります。関節炎で痛みがある時には非ステロイド抗炎症薬や局所麻酔剤入りステロイド注射を行い、前兆症状や鎮静化にはコルヒチンを服用します。高尿酸血症の治療には、生活習慣改善や尿酸降下薬の服用を行い、さらに定期的な血液検査で尿酸値を長期的にコントロールします。痛風発作がないからといって、薬を自己判断で止めないようにしましょう。
(画像引用)プリン体が含まれる食品|日本整形外科学会
足の慢性障害
足は全体重がかかる部位なので、日常生活でも一時的な疲労や痛みを感じやすい部位ですが、特に陸上競技・サッカー・バスケットボールなど、ランニングやジャンプ動作の多いスポーツを行っている方は、慢性的な痛みに悩まされることも少なくありません。
足の慢性障害の主な原因は、足の使い過ぎです。骨・軟骨・靭帯・腱の特定の場所に負担が続くことで次第に炎症が起こり、痛みが発生します。
(画像引用)足の慢性障害|日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/chronic_problem_with_foot.html
親指の裏が痛むときには「種子骨障害(しゅしこつしょうがい:図①)」、内くるぶしの前の骨が痛むときには「外脛骨障害(がいけいこつしょうがい:図②)」、足の裏が痛むときには「足底腱膜炎(そくていけんまくえん:図③)」、かかとが痛むときには「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう:図④)」や「踵骨滑液包炎(しょうこつかつえきほうえん:図⑤)」が疑われます。
いずれも発症の背景には、柔軟性の低下・筋力不足・足の変形(扁平足など)といった「選手側の要因」と不適切なシューズ・悪い路面での練習などの「環境要因」があります。
足の慢性障害は、自覚症状や圧痛点・痛む場所・立ったとき(荷重位)の足の変形具合など、問診・視診・触診によって診断します。併せて、超音波検査やX線検査を行うこともあります。
足の慢性障害の治療では、患部の安静が第一となります。スポーツが原因の場合には練習量を減らすなど一定期間の休養を取りましょう。さらに、アイシング(冷却)や温浴・低周波療法、塗布など鎮痛消炎剤の使用、ステロイド注射、インソール使用などの保存的治療を中心に行います。保存的治療を行っても改善がみられないときには、外科的手術が必要となる場合もあります。
※必要がある場合には、適宜近隣の対応病院をご紹介します。
種子骨障害
種子骨障害は足の親指の裏にある「種子骨」が痛む疾患で、陸上競技・バスケットボール・空手・剣道などを行う小中学生でよくみられる疾患です。
主な原因は走ったり踏み込んだりする動作を頻繁に行うことにより、種子骨が炎症することです。なお、生まれつき種子骨が2つに分裂していること(分裂種子骨)が原因となることもあります。進行すると足を地面につけただけで痛み、歩くのが難しくなります。
外脛骨障害
外脛骨とは、舟状骨(しゅうじょうこつ)の内側後方にある余分な骨です。日本人の約15%に存在しており、存在自体は病的な異常ではありません。外脛骨に痛み・腫れ・赤みなどが現れると、「外脛骨障害」または「有痛性外脛骨」という疾患となります。
外脛骨障害は女性や成長期(10~15歳頃)のお子さん、走る動作の多いスポーツ(特に陸上・バスケットボールなど)を行う方に多く発症します。ただし、外脛骨が出っ張っている、扁平足・回内足(かいないそく)*6など足の変形がある場合には、スポーツをしていなくても長時間の歩行や立ち仕事で痛みが現れることもあります。
*6回内足:足首が内側に傾いている状態
主な原因は、急激な運動負荷による外脛骨の炎症です。外脛骨のできる舟状骨は、ふくらはぎにある筋肉「後脛骨筋(こうけいこつきん)」の付着部であり、過度の運動で疲労すると後脛骨筋の腱(後脛骨筋腱)が引っ張られ、外脛骨が炎症を起こします。また、捻挫などの外傷や靴による圧迫などが原因となることもあります。
足底腱膜炎
足底腱膜炎は、かかとに痛みが現れる疾患の中で一番発生頻度が高く、中高年の女性によくみられます。ほかにも、若いアスリートの方にもみられることがあります。
足底腱膜とは、つま先からかかとまで縦に走っている扇状の繊維の膜で、土踏まずのアーチを支える役割をしています。
足底腱膜炎の原因は、かかと付近にある足底筋膜の付着部の炎症です。マラソンやジョギング・ウォーキング・長時間の立ち仕事などで、足の土踏まずに過度な負担がかかり損傷することで発症します。
治療の基本は、足の裏の衝撃を抑えることであり、保存的治療を中心に行います。また、近年痛みが半年以上続く難治性の足底腱膜炎の方に対し、患部に衝撃波を当て足底筋膜の血流を改善・修復して痛みを軽減させる効果が期待できる「体外衝撃波疼痛治療」が一部の医療機関で行われています。
踵骨骨端症
踵骨骨端症は別名「シーバー病」とも呼ばれ、かかとの痛み・腫れ・圧痛がみられます。10歳前後のサッカー・バスケットボールなどのスポーツをしている男の子に多く発症します。扁平足など足に不具合がある場合には、特に起こりやすい疾患です。また、成長期に現れる足の痛みから「成長痛」と呼ばれることもありますが、踵骨骨端症はスポーツ障害のひとつであり、正確には異なる疾患です。
初期症状は、運動後のかかとに軽い痛みや腫れがみられる程度ですが、次第にかかとをつくと痛むようになり「つま先歩き」がみられます。さらに進行すると、安静にしていても痛むようになります。
原因は、かかとの骨の端の骨(踵骨骨端核)と成長軟骨(踵骨軟骨*7)に炎症が起こることです。
*7踵骨軟骨:成長期にみられるかかとの軟骨。成長期が終わると骨化し、骨端核と共に元々のかかとの骨とくっついて、一つのかかとの骨となる。
(図)踵骨々端症
踵骨滑液包炎
踵骨滑液包炎は、かかとの骨やアキレス腱の後ろに痛みがみられます。足を上向きに上げるとより強く痛みを感じる特徴があります。症状が進行すると、肉芽形成・石灰化・骨化など組織が変化することもあります。
原因は、アキレス腱とかかとの骨がくっついている付着部に繰り返し負荷がかかることによる滑液包*8の炎症です。炎症を起こす要因には、仕事やスポーツなどによる足の使い過ぎ、筋肉の柔軟性の低下、かかとの骨や足の形の異常、かかとが深く患部を圧迫するような不適切な靴などがあります。
*8滑液包:液体が満たされている袋で、腱と骨がこすれる部分にあって衝撃を吸収し摩擦を軽減する役割を持つ
院長からひとこと
足、足首はとても大事ですが、皆さんも一度ぐらいは捻挫などの怪我をしたことがあるのではないでしょうか?実は僕も左足首のひどい捻挫を30代の頃にして、今でも急に寒くなった日などには痛むことがあります。
よく見ると足首って意外と細いと思いませんか?この細い足首2本で全体重を支えているわけですから、ちょっとした損傷で強い痛みが出たり、動けない、歩けないなどの日常生活の障害が現れたりします。
足首は、スポーツなどで使い過ぎたり、筋力が弱ったり、柔軟性が低下したり、腱や靭帯が変性したりして痛みや障害を起こすため、子供から大人まで幅広い年齢で痛みを訴える場所でもあります。
骨折以外(ずれの少ないものは除きます)は、早期に発見診断すれば、スポーツを休止する、柔軟性を回復する、筋力をつける、フォームをチェックするなどのリハビリテーションにより、手術をしなくても治る可能性があります。
足、足首に痛みや腫れ、違和感などがある場合には、すぐに当院にご相談下さい。