“歩き出しの痛み”が出たら要注意。股関節の初期変化と対処法

「朝、ベッドから立ち上がった瞬間に足のつけねがズキッと痛む」

「しばらく歩くと少し楽になるけど、また座って立ち上がると痛い」このような“歩き出しの痛み”は、変形性股関節症の初期サインであることがあります。
放っておくと徐々に痛みが強くなり、日常動作にも支障が出てくることも。

今回は、そんな初期の股関節トラブルを早期に見つけるためのポイントと、
悪化を防ぐための対処法・再生医療について解説します。

歩き出しの痛みが出る理由とは？

股関節は体重を支える重要な関節です。
朝起きて動き始める瞬間や、長時間座ったあとに立ち上がるときに痛みが出るのは、
関節内で炎症が起きているサインです。

寝ている間に関節液の循環が滞り、関節まわりの組織がこわばることで、
動き始めに摩擦が増え、痛みが出るのです。

この「動くと楽になる痛み」は、初期の関節変化によく見られる特徴です。

軟骨がすり減り始め、炎症や関節液の増加が起きる状態です。
歩き出しや階段の昇降で“詰まる”“だるい”などの違和感を感じる人が多いです。

股関節の縁にある軟骨状のクッション「関節唇」が傷つくと、
ひねり動作や立ち上がりでズキッとした痛みが出ます。
スポーツ経験者だけでなく、中高年でも起こります。

腸腰筋や中臀筋などの筋肉が硬くなったり、炎症を起こしている場合も。
特に長時間の座位や冷えで悪化します。

初期の段階では痛みが軽く、「そのうち治る」と思ってしまう方が多いですが、
軟骨のすり減りが進むと、痛みが慢性化します。

一度すり減った軟骨は自然に元には戻らないため、
早めに負担を軽減することが重要です。

こうした変化が出てきたときは、すでに進行期に入っている可能性があります。

朝の痛みが強いときは、関節が冷えてこわばっていることが多いです。
お風呂で温めたり、就寝時に湯たんぽを使うのも効果的です。

軽いストレッチや体操で、股関節まわりの柔軟性を維持しましょう。

体重が増えると股関節にかかる負担が大きくなります。
少しの減量でも痛みが軽くなることがあります。

まずは筋肉のバランスを整えるリハビリや、ヒアルロン酸注射などで炎症を抑えます。

レントゲンで異常がなくても、MRIで関節唇や軟骨の初期損傷が見つかることがあります。
「歩き出しだけ痛い」という段階で受けておくと、早期対策が可能です。

PRP療法やAPS療法などの再生医療では、
自分の血液から取り出した成分を注射し、炎症を抑えながら関節内の修復を促すことができます。

歩き出しの痛みは、股関節の「はじまりのサイン」です。
この段階で原因を突き止め、筋肉のケアや再生医療を組み合わせれば、
手術を避けながら進行を防ぐことができます。

　阿部整形外科クリニックでは、MRI診断と再生医療を組み合わせた治療で、初期の股関節痛にも早期対応しています。

阿部瑞洋（あべみずひろ）
整形外科専門医／阿部整形外科クリニック院長（東京都三鷹市・武蔵境）
股関節・膝関節の再生医療・保存療法を専門とし、
「手術以外の選択肢を提供する医療」を実践。
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